第113話 父と娘

 話は少しさかのぼるが・・俺の率いる織田艦隊の砲撃により大友艦隊の1番艦から3番艦が海の藻屑と消え、更には僚艦の惨劇で慌てて転舵したことから後続の大友艦隊の旗艦イスパニアのガレオン船と後続の僚船を巻き込んだ衝突事故を起こした。

 大友艦隊の旗艦と僚艦が団子状となり戦闘不能に陥り、大友艦隊の後続の4隻はこのまま戦っても僚艦と同様に海の藻屑と消えたると思ったか帆を降ろして降伏の意思を示した。


 これにより大友艦隊との海戦が終わりを告げて俺は海に漂う大友艦隊の拿捕を命じた。

 織田家艦隊のガレオン船が4隻、帆を降ろして降伏の意を示しているジャンク船は4隻だったのでそれぞれ対象を決めて拿捕を命じた。

 俺はひときわ大きく途轍もなく金がかかり豪壮で華美なジャンク船に目を付けて


「あのひときは大きなジャンク船を拿捕するぞ。」


と俺の乗る海洋丸の船長に命じた。

 俺の乗る海洋丸はそのひときわ大きなジャンク船に接舷し、俺は相手の船が降伏をしている事から何の抵抗も無く乗り込んむことができた。


 そのひときわ大きなジャンク船は途轍もなく金がかかり異国情緒漂う豪壮華美に造られた船で、その船長もまたとんでもなく豪奢な服を着て王族が持つような杖を突いてジャンク船に乗り込んだ俺を待ち受けるようにして立っていた。

 彼は陸戦隊に守られるようにして俺が乗り込むと


「貴公が織田信長公か?

 貴公が織田信長公でないなら、ぜひ織田信長公をここに呼んで御会いしたい。」


と俺に向かって尋ねた。


「俺がそうだ。」


と答えると彼は俺に勝った


「我はインド洋に面する広大な土地を支配する王だった。」


 インドではカースト制度と呼ばれる身分制度があり、上位カーストにはバラモン(司祭)を頂点にクシャトリア(王族・士族)・ヴァイシャ(庶民)そして下位カーストにシュードラ(隷属民)と続きさらに下位にアウトカーストとしてダリッド(不可触民・人間扱いされない人々)に分けられている・・・閑話休題。


 彼はそのクシャトリアと呼ばれるものの中でも王族・マハラジャで名前はランジード・ノボリクスというと説明してさらに


「その土地にある日ポルトガルのガレオン船が交易と称して訪れた。

 その交易が終わりポルトガルのガレオン船が立ち去ると私の末娘がいなくなってしまった。

 我は末娘がポルトガルのガレオン船の船長によって連れ去ったのだと思った。

 我はそのポルトガルのガレオン船を探すと何と遠く異国の地で倭寇の中心地である倭と呼ばれるこの島国方面に向かったと聞いたのだ。

 我は苦悩の日を過ごした。


 我は娘可愛さのあまり長男に位を譲り、倭寇の一員に加わり倭と呼ばれる島国で娘を探す事を決意した。

 我は先ずは有り余る財力を有していたことから造船・・ジャンク船・・した。

 船を手に入れることに成功した我は早速長男に位を譲り、我の古くからの友人達とともに娘探しの旅に出た。

 我はその旅の途中で倭寇との海戦を行い3隻のジャンク船を次々と打ち破り4隻体制となって、沿岸を伝いながら遠く倭と呼ばれる島国に向かっていた。

 その頃には縁があり敵対していた倭寇と手を組んで、倭寇の一員となっていた。

 そのうちに


『ポルトガルのガレオン船が倭と呼ばれる島国の近くで沈んだようだ。』


等という不穏な噂が聞こえてきたのだ。


 その真相を探るべく倭の国に近くまで来ると、どうやらポルトガルのガレオン船はを受けたガレオン船と海戦を行って沈んだようだと知れた。

 我はその時絶望感に包まれたが、イングランドのガレオン船が倭国の新しい国王の織田信長公の手に落ち、沈んだはずのポルトガルのガレオン船までも浮かび上がらせて短期間に復元した。

 それにそのガレオン船には生存者がいたと聞いた。

 一縷の望みを胸にこの国まで来たのだ。


 その織田信長公と倭寇と手を貸している南国の領主大友宗麟と瀬戸内海の要衝の地である関門海峡の航海権を巡って敵対関係に入った。

 倭寇は大友宗麟から支援を陰から受けていた為に、大友家にくみする事になった。

 それで否応も無く図らずも大友艦隊に組み込まれた。


 また大友艦隊の旗艦となったイスパニアのガレオン船もまた、噂の真意とイエズス会の送ったフランシスコ・ザビエルのかわりの神父を倭国に派遣した。・・・どうやらその神父も今回の海戦の際に行われた銃撃戦の流れ弾に当たって亡くなったようだ。

 フランシスコ・ザビエルのかたきともいえるイングランドのガレオン船が織田家の艦隊に組み込まれているのだから必然的に織田家と敵対関係となり大友家に与したのだ。


 海戦が始まるやいなや大友艦隊の先方が海の藻屑と消えて、旗艦までも戦闘不能の状態に陥った。

 我は大友家とさほど縁があるわけでも無い事から早々に帆を降ろして恭順の意を表した。

 ところで我がここまで来た目的・愛娘・サーシャは生きているのだろうか?」


と尋ねた。

 俺の答えは


「生きている。会いたいか?」


と聞かれれば答えは


「諾・イエス。」


である。

 俺は直ちに蒸気機関を載せた安宅船・尾張丸を名古屋城へと送った。


 その船は数日後には身重のサーシャを乗せて戻ってきた。・・・やることはやっていたので・・・。

 いろんな意味での喜びと涙の対面であった。


 その船には俺の親父殿も乗っていた。・・・う~ん後方は大丈夫か?

 毛利家や大友家との折衝にはいてもらった方が良いが・・・どうなる事やら?

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