第9話 天文17年桑名の戦い
天文17年正月、桑名港の会合衆の一人美濃屋の女主人おしのは俺への使者として娘のおしんと手代の新吉を送り出した。
二人を俺は
城の中に入るやいなや、おしんは大きな乳を振るわせて
「ヘエ~!一夜城と呼ばれる割には立派じゃん。」
等と言って城の柱をバンバン叩いている。
実は二人を招き入れたこの城は一夜城の後に建て替えた本格的な城だ。・・・それは伏せて
「ところで貴女達がここへ来た理由はなんだ。」
と問いかけるとおしんは、大きな乳の間から一通の書状を取り出した。・・・エロイ!しかしなんてところに書状を入れておくのだ。
その生暖かくほのかにおしんの体臭が染みついた書状・・・羨ましい♡♡♡は美濃屋のおしのからの書状で
尾張屋清兵衛・織田の若様 宛
このままでは桑名と桑名新港との間で
美濃屋とすれば桑名新港の織田の若様と
理由としては桑名と夫の敵である志摩半島の九鬼水軍が手を組もうとしているからです。
誼を通じるその証として娘のおしんを人質として桑名新港に預けます。
織田の若様が知りたがっている桑名港側の戦力は関船6隻、小早20艘以上です。
桑名側は九鬼水軍と手を組み織田家の船を挟撃するつもりです。
その九鬼水軍も今月半ばには関船5隻を伴なって桑名に応援に駆け付ける予定です。
その時に夫の敵の九鬼水軍を打ち破ってください。
それにもう一つ九鬼水軍が桑名に入港する際、その歓迎の為に会合衆は港の埠頭に集まるのです。
耳目は埠頭に集まります、その隙をついて陸側から攻め入って欲しいのです。
陸側の門は、美濃屋の手の者で陸側の門を開けます。
その約束の為おしんは人質になり、付き人の手代新吉は返書をしたためて桑名へ戻してくれまいか。
美濃屋主人おしの より
と書かれていた。
書状を読み終えた俺は
「おしん、この城で桑名との戦いの間しばらくいるか?
それとも新吉と共に一緒に帰るか?」
「私は新吉さんと一緒が良い。だから新吉さんと帰るね。」
と言って・・・ハイ巨乳ちゃんさようなら!この時代でも俺、女には縁が無いのかな?😢😢😢新吉と腕を組んで桑名へ戻って行った。
新吉腕が立つうえ良い男ぶりだからね!
戻る前におしんは大きな乳を揺らしながら、桑名新港内どころか新しく出来た関船の中の隅々まで見れるものは見てまわっていた。
おしんの隣にはいつも手代新吉もついて回っていた。
桑名に戻る道すがらおしんは
「見せてくれるものは全て見たけど・・・桑名新港の城の出来上がりは完璧だわ。それにすぐには私の店の関船はあんな風にはできないわね。
見れなかった場所は武器庫でしょ。九鬼水軍はすぐ来る急ぐは!」
と言って足を速めた・・・しかしおしんさん胸が大きくておっとりしているのでそれ程早く行けない。
員弁川手前の関所で唐丸籠を用意した役人がお詫びにと言って渡し船を用意し、川を渡った先では籠・・・唐丸籠ではない・・・を用意してくれていた。
御陰で桑名の美濃屋にはすぐ着いた。
桑名側の内通者おしんと手代新吉と密会した四日後、九鬼水軍の関船5隻が波を蹴立てて伊良湖水道を抜けて伊勢湾に入ってきた。
九鬼家は志摩半島一帯を支配し、その
この九鬼水軍の関船を率いてきたのは九鬼水軍総帥九鬼定隆の嫡男浄隆で、九鬼水軍は一路桑名港に向かう。
桑名は九鬼家に援軍要請した際に尾張屋の関船と桑名の越後屋の関船とが衝突した海難事故は伝えてはあるが衝突後に越後屋の
関船が真っ二つになった。
という事実は伝えていなかった。
実情を知らない九鬼浄隆は
『桑名側に加担すれば関船の数は11隻に跳ね上がり、織田家の5隻の倍以上になる、そのうえ小早が20艘以上いるので数の上では決して負けていない。
勝てる!
織田家水軍が迎え撃って出てくれば桑名港の会合衆側との船で挟撃して
と思って機会を
桑名港が見える程近くになっても織田家の関船がむかってこない。
肩透かしをくらった気分で九鬼家水軍の船団を進ませる。
間もなく桑名港に入港という気が緩んだ段階で
「織田の大うつけは襲ってこないようだ、入港時に火災を起こすと大変だから
と言って火を消してしまった。
俺は旗艦の尾張丸のマストの上で異常によい目でその様子を見ていた。
「好機到来帆を上げろ!」
と叫んで、マストから飛び降りると俺の体に巻き付けられた綱によって代わりに帆が張られて風を受けてガクンと船が走り出した。
俺の乗る船と同様に衝角を付けた残り2隻の化け物船も島影から帆を張って走り出した。
九鬼浄隆は火を消すと直ぐにその時ヘンテコな帆に織田木瓜の家紋が染められた織田家水軍の関船、尾張の大うつけの化け物船が現れるのが見えた。・・・それも3隻だ。
その船は風を受けて帆を膨らませながら猛スピードで、入港の為速度を落とした九鬼水軍の関船の横腹を狙う
「大盾を立てろ、その間から鉄砲を弓を射かけよ!」
と九鬼浄隆が命令するが火縄銃の火は消されている。
慌てて弓を射るが織田家水軍も大盾を立て射られた矢に針鼠のようになりながらも速度を落とすことなく突っ込んでくる。
「何故だ!何故進行を変えない?何をするつもりだ?」
と九鬼浄隆の叫び声をあげるが織田水軍の関船は
『ドカーッ』『ドカーン』『ドウーン』
という音を上げながら九鬼水軍の関船にぶつかりそのまま止まることなく進む。
その為、尾張の化け物船の衝突を受けて九鬼水軍の関船が船底を見せるように横へ大きく浮き上がる。
その関船の船底が尾張の化け物船の衝角によって大穴が開き、さらに突き進む化け物船が久喜水軍の関船を
『バキ』『バリ』『バリ』『バキ』『バキ』『バキ』
と船体の木が折れる異音を発しながら真っ二つに引き裂いていった。
剣道の試合開始と同時に突き技を喰らったようなものだ。
九鬼水軍の5隻中3隻の関船の船体が二つに分かれて一瞬のうちに海に沈む。
九鬼水軍が応援の為に桑名港に来ると言うので、桑名の代官はもちろんのこと会合衆全てが出迎えの為に港の埠頭に出て待ち構えていた。
その目の前で応援に来た九鬼水軍の三隻の関船が海の藻屑と消え去った。
「お、おい、戦いの応援に来た九鬼水軍を助けよ!」
と代官や会合衆が一緒に見物していた桑名港の船頭に命じる。
桑名港から救出の船を出そうとするが向かい風で帆が張れない。
向きを変えれれば追い風になる。
敵を追おうとするがまず味方の救出だ。
そこへ織田家の今までの関船の姿をした2隻の関船が現れた。・・・九鬼水軍の将兵も桑名側の将兵もそれを見て何となく
『ホッ』
とした。
しかしその船も悪魔を運んできた。
その悪魔こそ
史実でも炮烙玉は天正4年(1576年)大阪の石山本願寺を兵糧攻めの為に織田水軍、その時は織田家の支配下に入っていた九鬼水軍が海上封鎖の任に当たっている際、瀬戸内海の
織田家の2隻の関船から焙烙玉が吊り下げられた矢が次々と九鬼水軍や桑名港から救出に出ようとした関船や小早に向かって射かけられる。
鉄砲伝来と共に伝来したものが鉄砲の弾を飛ばす為の装薬、火薬である。
火薬は黒色火薬で鉄砲の弾を飛ばす装薬として使うことを前提としており炮烙玉のような手榴弾としての使い方をこの時点では知られていなかった。
九鬼水軍や桑名港側は矢に下げられた炮烙玉が爆発するまで船に突き刺さった矢を放置してしまった。
その結果、九鬼水軍や桑名港側の艦船が炮烙玉の爆発に巻き込まれ大混乱に
その混乱に乗じて織田家の関船が九鬼水軍や桑名側の艦船の横を通るたびに焙烙玉が次々と放り込まれて爆発炎上する。
この当時の船は木造船だ良く燃える。
これでは九鬼水軍の乗組員を救出するどころの話ではない。
この短時間で九鬼水軍の残った関船2隻も炎上し海の藻屑と消えた。
救出の為に桑名側の艦船の多数も炎をあげる。
桑名側の関船も2隻が小早も3艘が手も付けられない程の炎を上げて海を漂っている。
桑名側は慌てて桑名港へと戻ろうとした時、風下に姿を消していた織田の化け物船がいつの間にか港を封鎖していた。
俺は風上から風を受けて九鬼水軍の3隻の関船を衝角で真っ二つにした後、風下から風上に向かって船を走らせる。
これはこの当時の竜骨の無い関船には出来ない芸当だ。
竜骨の無い関船がこのような芸当をすれば水圧でバラバラになってしまう。
九鬼水軍も桑名側も俺の動きを注視していなかったことから桑名港を易々と封鎖されてしまい洋上に漂う桑名港側の艦船が次々と拿捕されていくのであった。
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