三番目のムイムイ

 この世界に来ても記憶が何時もついて回る。ふとした瞬間泡のように浮き上がり、それを今のように感じてしまう。たまに鬱陶しくもなる。なんで記憶なんて持っているのだろうって、それがたまに堪らなく寂しくなる。

 過去を思い出すと後悔ばかりで恥ずかしいし、やっぱり寂しいし切ない。

「ぜんぜんぜんぶのまえからぼくは、きっと悪者だったよ~」

 外装の中、二畳ほどの空間でぼくは寝そべっていた。

 前世ではモテず、今世では悪役令嬢だった。

「むりむりむりむりむーりむりむり」

 道具に埋もれながらゴロゴロしている。

 視界の中の荷物の山。鞄がいくつか積み重なっていて中身は下着とか服とか。あと転がる鍋が数個。スプーンなどの食器類が少し、後は装備と保存食。あと水。正直水があんまり良くない。常温保存だから。まぁおいらは菌類とか軒並み効かないけれど。

 聖浄水(星浄水)が2ℓほど、超純水が2ℓほどある。

 星浄水は女神ヴィーナスの加護が秘められた水で腐らず体に良い。教会へ行けば無料で貰える。超純水は貴族だった時、薬の製造で使用したあまり。

 星浄水はいいけれど超純水は飲み水に適していない。半固体化というのか染み込まないというのか変な水だ。劣化の速度も速い。

 星浄水は逃亡前に必要かと思って用意しておいたものがそのままだし超純水も使用したまま。一回黒羽の外装の中は掃除しないといけないとは思いつつこちらもそのまま。そのままそのまま。ままままままっ。


 外装の中身、覚えている限りは以下の通り。

 床、畳状に編み込まれた草絨毯が二枚。その上に置かれた鞄が三つ。内一つは衣類、一つは毛布、残り一つは雑貨と保存食(クッキー、干し肉、芋)などが入っている。下着、上下十枚。内三枚はオーダーメイド。洗濯による劣化あり。

 無造作に置いてあるナイフが二本。ただのナイフで鞘入り。

 立てかけてある剣。エースオブエースのレプリカ。四本ある。うち一つは試作品、一つは失敗作。

 エースオブエースは付与の施された剣。戦闘モーション補助がある剣。

 置かれた盾が二つ。ブロックオブアリア(レプリカ)が一つと小盾不屈のマリア(レプリカ)が二つ。立てかけられている銃、試作品が幾つか、後予備が二つ。

 枝などを入れる籠が一つ。鍋が三つ。いざという時のための聖水(聖浄水)2ℓ。超純水2ℓ。

 聖浄水、別名星浄水は女神の加護を受けた腐らない清潔な水。特殊な効果を帯びておりアンデットに有効。

 パウンドスーツ、淑女の嗜み(強化レプリカ)、メイド服一式、強化メイド服一式(レプリカ)、超強化メイド服一式(レプリカ)、黒衣の外装、コインホルダー二つ、内一つはストック。強化レイピア(レプリカ)。オーバーニーブーツ。グローブオブグローリア。ビョウ(投擲金属)23個。

 ランタン(中身は空)。スライム薬(高)二十五本。内三本は腐っていそう。前に作った奴。それにタバコ型の鎮静剤およそ八百本。

 玉箱。

 現在所有し、保管だけしているトップスターは2つ。使用トップスターは十六。

 金貨約30枚、銀貨おおよそ100枚、銅貨多数200枚ぐらいまでは覚えている。

 ちなみにこの世界の金貨一枚を故郷換算するとk14の付加価値付き60万ぐらい。金の純度は24分割らしい。k14だと含有量60%ぐらい。でもこの世界の金貨はムラが多いから金貨とはほぼ名ばかりのものも多数ある。

 使用用途も限られているしこの世界だと故郷ほどの価値は無い。

 他に希少な金属があるしね。おまけに奇跡が付与されていて偽造はほぼ不可能。銅貨は水に浮くし銀貨は水の中層に留まる。金貨は暗闇でも光る。

 仰向けになったエルフリーデを布団にして体に埋もれてまどろむ。女性の体になってから、自分の体が他者を優しく包み込むために進化した形だと思うようになった。

 正直お尻が大きくなるのは男性に対して自分が女性であるとアピールするためだと理解できる。体のメリハリが男性に対して視覚的効果を与えると思うから。

 ただ胸に関して言えば、男性にアピールするためだけに大きくなるとは思えなかった。

 こうしてエルフリーデの胸に埋もれていると、谷間が丁度顎の位置にあり納まりが良い。

 この胸の形は、おそらく子供を優しく抱きしめるために進化した形だ。

 男性にアピールする形はおそらく付随に過ぎず、むしろ男性が女性のこの形に惹かれるように進化したのではないかと女性の体になってからそう思う。


 この柔らかい体は子供を優しく抱きしめるためにある。と、綺麗ごとだとも思うけれどこれが正解だとも思う。


 エルフリーデはメイド服を着ていた。

 黒い手触りの良いワンピースを主体に、白いエプロンが付随している。

 おいらは悪役令嬢だ。だったと言うのが正解ではあるけれど、結局はこの体である限り、悪役令嬢なのかもしれない。

 母がシナリオを書いてゲーム化した世界。おいらはこの世界の悪役令嬢、ドラッベンラヴァーナヴィーになっていた。何の冗談だと思うかもしれないけれど、実際おいらはドラッベンラヴァーナヴィーなのだからそれ以外の答えが見つからない。

 悪役令嬢でもいいけれど、男と結ばれるのだけは嫌だ。

 悪役令嬢が追放されるのには理由が必要となる。

 ヒロイン(主人公)が存在している時点で婚約は必ず解消される。これは運命だ。でもドラッベンラは曲がりなりにも公爵家のご令嬢。そして公爵家の権力にドラッベンラは関係ない。例えドラッベンラが婚約解消されようと公爵家の権力にはなんら関係がない。

 通常ドラッベンラが婚約解消をされても死刑や追放にはならない。領地に戻されて次の婚約者をあてがわれるだけだ。それには婚約解消をした王家が必ず関与してくる。お詫びと言う体のいい理由を備えつけて。それは王家から切り離さないと言う事。骨の髄までしゃぶられるだろう。

 だから死刑にならない程度のギリギリラインを攻めなければならなかった。

 色々考えた結果、追放後に死を偽装することにした。うまく行ったと思ったけれど、近くの村に滞在中ミザリー子爵令嬢に疑われて幽閉されてしまった。そこからなぜかミモザスティレットと言う盗賊団の元副長もいて罪をなすりつけられそうだったから、罪をなすりつけられて逃亡した。

 今は逃亡先の遺跡の一角。遺跡の壁を構成するブロックを何個か抜き取って小さな部屋を作り、その中でさらに黒羽の外装を広げ外装の中の亜空間で横になっている。

 この生活がもう三日も過ぎていた。

 なぜ三日も過ぎているのかと言うと、ぼくが悪い。

 ぼくがエッチなのが悪い。

 久しぶりにエルフリーデと二人になったので、エルフリーデを使って女性という機能を堪能してしまっていた。

 エルフリーデは人ではなく夜術によって作られた術的生命体だ。魂というか意思が無い。

 昔のぼくの姿を模して作ったけれど、エルフリーデは色々都合が悪いので今は金髪碧眼にしている。代わりにぼくの髪を黒髪にした。

 エルフリーデに意思はないし、人の姿を模倣しているだけで生物ですらない。

 けれどしっかり女性の姿を模して製造しているので構造的には女性で間違えない。胸もあるしお尻もあるし柔らかいし体温もある。

 こうしてエルフリーデを下にして胸の谷間に口や鼻を押し付け、胸に指を這わせて弾力を感じたり、まどろみながら喉元、顎下に唇を押し付けたりしているとなんとなく気持ちが良くて困る。

 普通の女の子だったのなら、生理現象や意思によって拒否されることでもエルフリーデは拒否しない。

 こんなことをしていてはダメだと思いつつ、顔に両手を当てて悦に浸り、己の内にある欲望と理性の拮抗を楽しみながら、エルフリーデの股間に顔や口を押し付けたり、おパンツ越しに顔を擦りつけてムイムイしたり、眠りながらエルフリーデのおパンツの中に手を入れたりして遊んでいた。さいてーだぞ。

 股間を枕に足を抱き枕にして寝たり、意味もなくおパンツの中に手を入れて下腹を撫でたり、そんな事をしていたらあっという間に三日が過ぎていた。うわーお。

 でもエルフリーデさんは人間じゃないからね。人間じゃないからセーフだと思う。人に見られたら終わるけどね。変態行為だぞ。

 エルフリーデとイチャイチャする。ご飯を食べる。寝るという三つのルーティンが出来上がって無限に繰り広げられる。マジやばくね。マジやばい。

 現に今も胸の谷間に顔をムイムイさせながら、両手でお尻やらお腹やらに指を這わせてメイド服越しの肌を楽しんでいる。エルフリーデは基本無臭でおいらの体臭がしみ込んでいくのも良い。

 排泄も無いので排泄口も形だけ。せっかくなので入り口の形を確認したり、中指を入れて親指で摘まみ、弾力などを確認したりさせてもらった。貴重な体験だ。

 意外だったのが子宮口の位置。直結というわけではなくて、やや上向きに子宮口があり、膣の方向よりややズレている。貴重な体験だなー。

 エルフリーデの体表において知らない箇所がない。

 個体差があるのでこれで女性の全てを知ったと言うには語弊があるし、愛し合っていると言うには片思いが過ぎる。

 何かとは言わないけれど、下垂とおわんのハイブリットで陥没。トップが露出すると円錐になります。

 エルフリーデの手が頭を撫でたり耳を撫でたり、人じゃないので疲れることもなく、寝るのが楽しくて仕方がない。無限に愛でられながら寝られる。

 いい加減やばくねと思った時には三日も過ぎていた。

 だるさと怠惰に訴えられながら鎮静剤をとって匂いを嗅ぐ。

 外装の中は荷物がごちゃごちゃしているし狭いし家具も無い。この遺跡で良いトップスターを見つけられると良いけれど。

 体を起こしてぼんやりしているとエルフリーデの手が回って来て、背後から抱きしめられる。エルフリーデの吐く息や鼓動が伝わって来て心地よい。

 エルフリーデの唇が頬に何度も押し付けられてこそばゆく、次いで鼻で頬でつつかれて、ムイムイ優しく擦りつけられる。

 鎮静剤で発情しないのにエルフリーデに寄りかかってそのまま押し倒して、口に何度も唇を押し付ける。押し付ける時に目が合って、その目が優しげに笑みを浮かべていて、心臓に躊躇いと、それでもと唇を唇につける。

 舌を入れるとかそういうのは無しの方向で。表面だけで何度か唇を合わせて弾力や表面の感触を唇で堪能。唇の表面に舌を回す。上唇を舌先表面でなぞり次いで下唇をなぞる。繰り返し回すとこれが気持ちいい。お互いの唇を円状に舐め合うとどうしようもなく心臓が震える。次いで鎖骨辺りに顔を埋めてムイムイしてしまった。

 エルフリーデは全面的に受け入れてくれるので、もうエルフリーデでだけ良い気がしたけれど、エルフリーデは人間じゃないんだよね。それは些細な問題と言えば些細な問題だけれど。

 服を半端に剥いて素肌に顔を這わせる。吸うのってもっと楽しいと思っていた。感覚的には頬に押し当てた方がクル。これはおいらだけかもしれない。

 粘膜を接触させる。それを想像すると予想以上の淫らさを感じる。スケベェエだな。

 自分の体液と相手の体液を混ぜ合わせたい。自分の体液が相手の体液と混ざり合うと想像すると予想以上に興奮する。これもおいらだけかもしれない。

 エルフリーデの手に手を重ねて恋人繋ぎ、甲にいくら口づけしたとしても結局は人形遊びに過ぎない。

 今世でもおそらく恋人は無理そう。

 恋人ができたら体の隅々まで把握する気満々なおいらは変態なのかもしれない。

 でもまぁ、交尾の時ってケツの穴まで見るわけだし、ケツの穴より恥ずかしいところってそうそう無いと思う。

 起き上がり荷物の中から干し肉を取り出して齧る。

 塩気が多いと水分が足りなくて吐き気に変わる。体は丈夫だけれど水は飲まないといけない。何か食べないとお腹だって減る。排泄だって三日に一回はある。

 そろそろ排泄の周期だし、いい加減どぎゃんかせんばいけんばい。ばいばい。

 自分で全てをやりくりするのはとても難しい事だと改めて実感する。

 自分は養われていたので、のうのうと暮らせていたと強く実感する。

 自分で食事を作り水を買い生計を立てなければならない。

 唾液で干し肉をふやかし齧りながら遺跡の内部構造を改めて把握していた。

 遺跡にはいくつか種類がある。逆塔型、高円状型、迷路型――エルフリーデが背後から抱きしめてくる。

 ちょっとエルフリーデさん。今ですね、マップを開いていてですね。これ、おいらが望んでいるからエルフリーデが寄って来るってことだよね。おいらって寂しん坊だ。でもいい加減立ち直らないといけないのでと、エルフリーデを子供の姿に変えて股の間に座らせる。

 悪者とは言え人を殺してしまったことに多少の罪悪感はある。

 初日は最悪だったけれど、寝るごとに小さくなっていく。時間は最良の薬なーのだ。

 そろそろトイレが来る頃。

 一度警戒しながら外装の外へ出る。

 外は真っ暗だった。遺跡の壁の一部を破壊して中に休憩所を作るのは遺跡探索に置いての必須技能。安全な場所なんて無いので自分で確保しなければならない。

 部屋とか見つけてそこに陣取り入り口閉鎖も良いけれど、見つかりやすいし袋小路でいざという時逃げられない。

 だから壁の一部を破壊して内部にある小空間を利用し、壁を戻すことで疑似的な閉鎖空間を安置として構築する。透視能力とか変な能力を持っていない限り戦闘は避けられる。

 聖域構築は普通の人間には無理だし、ホロ(魔獣人)が透過しないようにするには高い契約レベルが求められる。聖域構築は現実的じゃない。それこそ主人公にのみに許された御業だ。勇者だけじゃない世界の中で勇者以外生きられないじゃまいかって話。

 この壁に穴を開ける場所には適した箇所があり、遺跡探索ではそういうノウハウが求められる。崩す岩の選び方とか順番だとか。

 天井が高ければ天井付近に縄でハンモック吊るして休むとか。

 火を焚いたり料理をしたりするのは注意が必要。

 そんなの見つけてくれって言っているようなものだし、火で炊いた料理は温かくて心も休まるけれど、思った以上に匂いが充満してホロ(魔獣人)やホロウ(魔獣)を引き寄せる。

 ホロの中でも得にドミナ種。獣が主体の亜人はこの手の匂いに敏感なのでおすすめはしない。リナリクス種なら多少の融通は利く。

 それと共に遺跡内部には壁の隙間より排出されたガスが溜まっている場合がある。可燃性のガスの場合吹っ飛んで死ぬので火を点けるのもおすすめしない。

 判定アイテムはあるし、遺跡自体がガスを排出、無害化するように出来てはいる。けれどガスだまりが絶対無いとは言い切れないし、そう言う場所には虫の死骸などが散乱しているので察することはできる。

 この世界の可燃性ガスは空気より重い。注意すべきは腰より下。

 要を足すのも色々方法があるけれど、今回は閉鎖空間の中で要を足す。

 この要を足すのもなかなか面倒。便の匂いで悟られる可能性がある。腐った食べ物なんかを壁の外に放逐しておくと良い。

 疑似空間の中、床材に使われている岩を一つ、元の大きさに戻ったエルフリーデと一緒にどかして溝を作り、要を足す。

 エルフリーデが屈んだおいらを自らのスカートで包んでくれた。

 この世界において女性がなぜスカートを履くのか、それはスカートに消音消臭回路が組み込まれており、このような場合に匂いと音を消すためだ。デリケートな問題なのだ。

 エルフリーデの股間が目の前にあり、顔を股間に突っ込んで支えてもらうのとムイムイを同時進行。無事要を足したら夜術サイコオーラでお尻についた汚物を分離し、溝に落とす。おいらう〇こもチョコ臭だから困るんだよな。

 溝から立ち上る臭いがチョコ臭で困る。

 サイコオーラマジ便利。手が汚れない。

 おいらの体臭は問題だ。だからおいらは野外や遺跡において自分をサイコオーラで包み続け、匂いを消し続けなければならない。服にも消臭回路は組み込んである。でもこの服の消臭回路は不完全だ。おいらのチョコ臭を完全に消すにはサイコオーラを継続し維持し続けなければならない。チョコ臭って嫌な言い方だけどね。いい匂いなんだけど。

 スカートに顔をツッコみながら要(用)を足すだなんて、とんだ変態だな。聖女が見たら即倒ものだ。聖女じゃなくても即倒ものだ。

 壁を構築するブロックには適度に隙間が開いており、外に光があると透過するので外の音や映像を一部だけでも見ることができる。光に影が落ちるのは通る何かがいるということ。終えたら床を元に戻す

 そろそろ髪が伸びて来た。

 外装の中へ戻り置いてある鞄に腰を下ろす。エルフリーデにナイフを持たせて視点を借りる。おいらがいるのに、おいらを見下げている。エルフリーデの視点。

 ドラッベンラを見下ろしている。振り返ったドラッベンラはおいらであるけれど、見ているエルフリーデもおいらだ。可愛いなドラッベンラ。

 こんな女の子に好きって言われたら、おいらだったらオッケーしちゃうけどな。

 頬を寄せる。ドラッベンラの感覚とエルフリーデの感覚で二倍こそばゆい。

 エルフリーデの髪を整える必要はないけれど、ドラッベンラの髪は整えないといけない。

 自分で自分の髪を切るのは難しいけれど、エルフリーデの視点を借りれば丁寧に髪を整えられる。髪を整えたら耳垢などの掃除もする。こうして自分で自分を他人の視点で見られるのはとても重宝する。ドラッベンラに代謝はあるからね。

 エルフリーデとしてドラッベンラを抱きしめたり髪を撫でたり、自分でしているのに感覚が二つあるので四倍気持ちいい。こういうのはちょっと気持ち悪いけれど唇をはむはむすると気持ちいい。キャーちゅうしちゃった。

 終えたら外向けの外装、パウンドスーツを着る。ツナギ状の黒いスーツで足先から首元までを覆うように着る。お腹辺りまで生体ファスナーがついており密着。中はシリコン状で衝撃をやわらげるため、というわけではなく、ただ単に肌触りがいいから。

 生体ファスナーは肉状の凹凸で、形を合わせ指でなぞると密着するけれど癒着するわけじゃない。ファスナーを閉めたら上の部分をかぶせてファスナーを見えなくする。

 両腕の部分だけは無くて両腕の部分は別途腕まである手袋をつける。

 感覚の問題かな。薄く作った腕まである手袋でカバーする。

 これは遺跡用の装備。街中用の装備とは少し形が違うけれど性能はほぼ一緒だ。

 斬耐性、突耐性、衝撃耐性回路と温度調整回路、筋力増強回路、生体回路が敷かれていて魔力を通すとこれらの効果が発揮される。

 生体回路は服を体の一部のように感じるための回路で、この回路を敷くことで生体ファスナーが機能して体によりフィットする。弊害はある。服がある感覚がなくなるので体の情報と服の情報がかみ合わずに慣れるのに時間がかかる。指とかはやっぱり薄くしないと感覚がバグる。よってこの服は、腕と体で分離している。

 ゴーグル、鼻と口を覆うマスクは必須。ガスを遮断する。まぁおいらガスは効かないけれど、これは気持ちの問題かな。

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