はじまり
「朝ですよ。起きてください」
少女の声に顔をしかめる。部屋には鍵がかかっているはずなのに、少女はそんなのお構いなしに入ってきた。起き上がり、ベッドの縁に座る。白い足と白いパンツ、ぼーっとする。女になって面倒だと思うのは、胸が大きくて邪魔なとことパンツが食い込む事。
ケツ側に手を入れてズレたパンツを直す。ズレない量産型パンツを誰か開発しておくれ。
かゆいところに手をとどかせるにはオーダーメイドしかない。生地も問題。
下着だけはもっと持ってくればよかったと思う。
「またそんな恰好で寝ていたのですか? そんなんじゃお嫁にいけませんよ」
お嫁になんていかない。いかないとは思うものの、朝から癒されるので子供は〇。ちょいちょいと手を振って傍に来たところを、腹を持ち上げて、胸に抱き、足に挟んでごろんと寝返りをうつ。女児はバタバタと暴れた。
「二度寝はダメです‼ ご飯食べてください‼」
市勢の宿で唯一の救いはこの幼女だけ。壁が薄いのとうるさいのと汚いのと臭いのを天秤にかけて釣り合うかどうか。
「愛でさせておくれよ」
「銅貨一枚でいいですよ?」
銅貨一枚でたっぷり幼女を堪能させてもらった。ただ幼女でも臭い物は臭い。エロいことはしていない。頬擦りしたり頭をナデナデしたりしただけだ。
この女児、髪を洗うのが嫌いなのか髪がくさい。服も独特の臭い。洗剤が問題。
堪能したら起き上がり、着替える――黒衣の外装は体にフィットするタイツのような服。デニム……ではなく、デニールで言ったら180ぐらい。80だと透ける。
この服の良きところはブラが無くともカップを支えてくれるところと、非常に動きやすいところ。うっすら紫で目立たないのも良き良き。上から羽織るのは黒羽の外装。肩から羽織る黒いコート。どちらもこの世界において普通ではありえないくらいの強装備。
黒羽の外装の内側にはアイテムをストックできる異空間があり、手を入れてベルト出し、付随するコインホルダーを腰にかけてニーブーツを履く。
ニーブーツは必須。道が舗装されていないので普通の靴だとすぐ汚れて使い物にならなくなる。足が泥まみれになってもいいのなら普通の靴でもよい。指にだけ装着するグローブを身に着ける。
黒衣の外装――布製。斬撃、衝撃に強い。装着者の身体能力を著しく高める。黒蝶の蛹より作られた外装。体にぴったりフィットする。
黒羽の外装――魔物黒鳥の羽より紡がれた羽織。内側の真っ黒な空間が異空間になっており、アイテムを納めることができる。上限あり。炎、冷気、雷を著しく和らげる。異空間は付与により追加された機能。
オーバーニーブーツ――ひざ下までの長いブーツ。皮製。黒蝶の蛹で表面と内側が覆われており、フィットすると同時に撥水、切り傷、衝撃に強くなっている。柔軟性が高く丈夫。地面を跳ねる性質を付与し跳ねるように駆けることができる。
グローブオブグローリア――指に装着するグローブ。五指で連なっており、斬耐性が高く、柔軟性もあり、指を保護する。付与により指先が器用になる。
コインガン――コインを弾として射出する銃。その形状はショットガンに近い。
夕霧の霊銀――コインガンに装着できる銀貨。追尾性能が付与されており、対象を追尾し曲がる。しかし曲がるのには限界があり、必ず命中するわけではない。
残呪の霊銀――コインガンに装着できる銀貨。炸裂性能が付与されており、対象を八つ裂きにする。
十年貴族として暮らしてきた人間が、市勢に下ると馴染むのに時間かかりそう。嫌味でも何でもなく事実。嫌味かもしれない。
洗面所は共用、トイレも風呂も共用。風呂に毎日入るなんて人間はおいらぐらいしかいないけれど。この宿は中くらいの格らしい。下も上も行ったことない。壁は薄いし、隣の声が聞こえるし、なんなら階下の声も聞こえるし、床は軋むし埃もある。砂っぽくて匂いもきつい。
「はい」
この店の看板娘、幼女が桶とタオルを持って来てくれて、ありがとうと言って顔を洗う。俺が洗面所を使うとめんどくさい事になるらしいし、金を払うのを渋らないのでサービスが良い。外装に手を入れて銅貨を出し、指ではじくと幼女は宙を飛んで降下するそれを受け取り、ありがとうと言って部屋を出ていった。朝食と宿代色々込。
宿は一晩朝食、昼食、夕食込みで銀貨一枚。銀貨の価値は円換算一枚3000円ぐらい。物価は割と高い。現在のレートだと銅貨十三枚で銀貨一枚分。銀貨三十二枚で金貨一枚分。
レートは産出する金属の量、国の情勢、物価や供給、需要により教会や国が管理する。
銅貨一枚二百三十円ぐらい。金貨一枚約十万。さらに下の貨幣に真鍮貨がある。あるけどあんまり使われない。通常使われるのは銅貨か銀貨。国によっては燐布貨幣(リンフカヘイ)と呼ばれる布で出来たお札(さつ)もある。
顔を洗ったら、そのまま部屋に鍵をかけ出る。
一階に降りると食堂、良い匂いと湯気と人と人。騒がしくて賑やか。
幼女に桶を渡すと、ついでにカウンター席に案内され頭を撫でる。可愛いなコイツ。ちゃんと宿の娘をしていて偉い。銅貨一枚とは言え、チップがあるので専用席を確保して貰えた。
女将さんはいい女だし、将来この女児も女将さんみたいになるのかな。朝からいい腰とケツを眺め、宿の経営者兼料理担当の旦那を羨ましいと思う。
運ばれて来たブルスト、香ばしいウィンナーにフォークを指すと、皮が裂け、香ばしい匂いと脂の飛び散る音に舌なめずり、だらだらしながら口に運ぶ。
ぼくってこんな感じだったっけと思ってしまうのは、前世と今世の容姿があんまりにも違うから。
私なのかぼくなのか俺なのか、一人称をどうすればいいのか迷う。
ぼくだと男らしくないし、俺だと傲慢な気がする。私と言うには気が引けて、ぼくだという年じゃない。でも俺というのも違う気がする。私でもいいけれど、市勢でその呼び方はどうなのか。
ちょっと塩味がきつい。お米食べたい。運動量が多いので、市勢では味の濃い物が好まれる。昼間っからお酒を飲む人もいる。
歯が皮を裂き、汁が口の中に溢れる。香ばしい皮の中の柔らかな肉と汁、鳴るように脂が喉を滑り落ちていく。口の中に入れた時のスパイシーな味、皮を裂き、脂と汁で和らいで、炸裂した味の薄らぎと舌を包み込むような脂の旨味。噛んでは味が脳を走り、薄らいではまた噛んで味を求める。
「うーん」
美味しい。
あれから、転落して、暗殺者を退け、離れ、この村にたどり着いた。
転落する場所は選んでいたけれど、実際何処に転落するのかは完全に運。
村の候補はいくつかあり、下見もした。
下見をしたとは言っても、場所を確認しただけで入ったのもはじめて。
しかも全然うまく行かなくて、まったく知らない村に来てしまった。
隣の国に〈〈とんずら〉〉するのが一番の安全策ではあるけれど、残念ながら国を出るには関所を通らなければならないし、隣の国が実際どうなっているのか、行ったことのないぼくには確かめようもない。
王都から北上、ヴァーナヴィーの土地が西であるのなら、ここはログズリーの領地だ。
月日を当てはめるのなら今は四月の末。そこまで肌寒くはない。
十六歳よりやや年下の給仕の女性がせわしなく料理を運んでいて、女はやっぱ見ていていいものだと思ってしまった。
ドラッベンラになってからの月日も入れて結構いい歳。
おじさんの容姿で凝視していたら、不審者扱いでつるし上げられそうだけれど、この容姿なら凝視していても、相手がちょっと緊張するだけで、にこっと笑みを浮かべられて、にこって返すだけ。
偽装死の後は普通に冒険者としてやっていくつもり。
新しくギルドに登録しないとダメそう。
エルフリーデを本名で登録しなければ良かった。
そうすればこっそりエルフリーデとしてギルドでやっていけるのに、残念ながら現在の状態ではエルフリーデとして活動できそうにない。身元がバレる可能性がある。新しく登録。プランB、ドロシードロッセルという偽名で登録することを思案している。
やることも目的もないし、人間と恋愛をする気にもなれないし。俺は男だし、男と恋愛はしたくないし。
ゾ〇の不動攻め(お前を絶対に抱くという覚悟の攻め)、サ〇ジの戸惑い受けからのサ〇ジの逆らい攻め(俺にこんなことをしておいて)、〇ロの躊躇い不動受け(やっちまったけど、お前の心を考えていなかった。嫌われているのではという躊躇い、求められて嬉しい。絶対にお前に抱かれる。抱いてくれ)という展開は兄が書いた薄い本だけでお腹いっぱいだ。女性に手を出すのも……。相手の事を考えると、それはそれで悪い気がした。幸せにすればいいとは言うけれど、簡単に幸せになるのなら離婚する夫婦なんて無いっていう。
幸いこの世界には雌型の魔獣やら魔物やらが生息している。これらをどうにかしても罪には問われないだろうし、あんまり楽しめなかったし、しばらくは、男として教授できなかったエッチなことでもしようかなと思った。どうせならこの世界でしかできないエッチな事がしたいなきゃぴきゃぴと、おっさんが申しております。我ながら気持ち悪いなぁ。
でもエッチなのは仕方ないと思います。犯罪はダメだけど。
何をするにしろお金が必要だし、魔獣や魔物を飼うのなら家も必要で、いざ始めるとなったら足踏みしてしまう。
外装の中より鎮静剤を取り出して、口に咥えた。筒状で、吸う物、タバコと同じ仕組み、成分は違う。これを吸うと精神を安定させることができる製薬。緊張や性欲の暴走を抑えられる。吸っている間は賢者だ。体に害はなく、中毒性も耐性もない。広がった匂い全体に効果がある。
つまり周りの人にも効果がある。集中したい時や、性欲を抑えたい時にはもってこい。
周りの人間の暴走も少し抑えられる。
女将さんが小さく燃える棒を差し出してくれたので火をつける。
「ありがとう」
「いいえ」
一服したら。
「ごちそうさま」
そう言うと女将さんは不思議そうな顔をして、嬉しそうに少し笑みを浮かべた。そういう習慣が無い。飯を食ったら黙って出ていく。
一度部屋に戻り、荷物を軽く整理、灰を鉄の皿に落とし、部屋を出て鍵をかけた。
階段を降りると少女の姿。
「これからどうするの?」
「ギルドに行くけど?」
「案内してあげよっか?」
「あらダーリン、エスコートしてくれるの?」
「そうよハニー。お代は頂くけれど」
しっかりしている。少女と一緒にいると昔の自分が顔を覗かせて、根本は変わらないのかもしれないと思ってしまった。ぼくだったら、相手にお金を要求するのを図々しく思ってしまって遠慮してしまうけれど……。
こういうところは見習いたいな。
村なのか街なのか、村の中は砂埃が多かった。
前を歩く少女が嬉しそうにスキップし、時たま振り返っては笑顔を向けてくる。
日差しが眩しい。いい天気。屋根の下に蝶が止まっている。この世界の女性は基本的にスカートを履かない。スカートを履くのは強者か後ろ盾がある女性のみ。通常は体のシルエットがでないようにし、髪も短い。ズボンと必ずベルトをする。
実際目の前の少女も髪は短いし、上着とズボンを装着、男の子か女の子か見た目では判断でき辛い。
ギルドに到着し、中に入る。みんな土足なものだから、床は砂っぽく、職員が床にモップをかけて掃除をしていた。
「ちゃんとエスコートできたでしょ?」
「そうねダーリン。ありがとう」
「えへへっ」
銅貨を一枚取り出して渡し、頭を撫でる。
「子供扱いしないでよー。もう十歳なんだから」
「あと二年もしたら、立派なレディね」
この世界の成人は十二歳だ。なぜって治安がよくないから。魔獣や魔物もいる。戦争しないといけないし、子供作らないと絶滅してしまう。庶民は十二から、貴族は十六から成人。貴族の女性はもれなく十二歳から婚約者を探し、よほどの事がなければ十六で結婚して子供を作る。最低三人。死ぬなんてざら。
「もー……」
ちょいちょいと屈むよう促されて屈むと、頬にキスされた。悪くはない。
「気を付けて戻るのよ」
少女に手を振って別れる。
ドラッベンラになった時、生理がいずれ来るのを恐怖していた。いまだに生理は来ていない。それは体に異常があるわけではなく、太ももの内側に文様を刻む事で避妊をし、また生理を抑えているからだ。神様がやってくれるので、一か月に一回教会に行けばいい。
「ようこそギルドへ。今日はどのような御用でしょうか?」
「新しく登録したいのですが」
「承りました。身分を証明できるようなものはありますか?」
「無いです」
「ではこちらにご記入ください」
渡された用紙を手に取る。出身地などを記載する。適当な村の名前を書いておく。本名はドロシードロッセルで、ロウはスカウトとレベルは3を記載、現在パーティを募集いていますかについてはソロ専(ソロ専門、一人専門)と書いた。
ギルドは神様が設立した組織だ。だからどの国にも必ずギルドが存在する。神様は中立なので、一定の国に加担することはない。完全中立で国事にも通常は介入しない。選民思想だろうと介入しない。人同士の争いにも通常介入はしない。何処かの国で子供が飢えて死のうとも介入はしない。
神様の加護があるかないかでは能力の差が天と地ほども違うので、ギルドを拒否する国はない。それに神様と契約すれば、身元は神様が保障してくれる。神様との契約があれば、それを証明するだけで身元保証になる。ギルドは契約者のためにあり、色々な都合をつけてくれる。
犯罪に関してだけれど、神は基本不介入。神の力は純然たるもの、それは振るう者に責任がある。そして人がその力を振るうのならば、人がその罪を裁かなければならない。しかし加護の剥奪はありえる。罰の確定後、神への申告で剥奪はあるし、あんまりに力の使い方がひどいと、剥奪後、神に仕える裁定者より断罪される。逆に罰が重すぎると神に加護の剥奪を拒否されることもある。
紙を受付に提出。朱肉に右の五指をつけて、紙にぺたりとつける。
「夜と闇の女神ですか……」
受付が渋い顔をしたので苦笑い。
ヴェーダラと契約しているけれど、ヴェーダラと書くわけにはいかない。ヴェーダラなんて神様はいないからだ。記載に無い。
神の数は星の数と同じ、水、金、地、火、木、土、天、海。そして冥の夜と闇の女神。
明星の女神は金星のヴィーナス。教会に祭られているのは八柱。つまりそういうこと。
八柱意外にも神様はいるしね。
神々は自らが加護を与える代わりに代償を要求してくる。清廉潔白であれとか、純潔であれとかそういうの。夜と闇の女神はこの代償が緩い。犯罪者にも寛容なので、人の国に所属した犯罪者のほとんどは夜と闇の女神に加護を貰っている。その代わり、能力補正も低い。
ヴェーダラの代償はヴェーダラに口付けすること。最悪死ぬ。その代わり能力補正が高い、強い。使徒は原則一人、強い。使徒とは神に選ばれた裁定者の事。神に直接仕え、神の声により動き、そのために強い力を貰える。ヒロインも裁定者。つまり使徒。
「犯罪歴はございますか?」
「無いです」
「調べても?」
「どうぞ」
明星の女神の神官が連れてこられた。女神は看破を持っているので嘘がつけない。
「何か犯罪をしたことはありますか?」
とは言っても、Lvが物を言うので、Lv10の神官を連れてこないと、現在Lv9のぼくから嘘を見抜くことはできない。Lv10はさすがにいない。聖女、ヒロインでもLv7ぐらい。
ヒロインは明星の女神の使徒だけれど、他の神々とも契約できる。
ロウのレベルは神の寵愛度に比例する。ただ戦うだけではLv5が限界。そこからはただ戦うだけでなく、神の望みも聞かなければならない。
他の人たちが、必死に戦い神様に奉仕することで達することのできるレベル5。ヒロインはこの奉仕の部分を好感度という形でクリアできる異端。ただあんまり戦いをしないのでそれでも最高レベルは7だ。レベル上げに戦いは避けられない。神様の好感度がどれだけ高かろうともここは忖度なし。
残念ながらヒロインは戦いが苦手。アシストがメイン。聖女としての能力は非常に高い。その最たるものが蘇生。死者を生き返らせられる。すごい。
公式でもレベル7が最高。八柱すべてをレベル7にできる。すごい。
「無いです」
レベルの指標はどれぐらい神様から力を引き出せるかの指標。
神官は受付に頷き、奥へ戻って行った。
「失礼しました。ギルドに登録すると、依頼料よりコイン一枚を仲介料として頂戴いたします。よろしいですか?」
「はい」
「ギルドに登録することにより、税が発生します。週に銀貨一枚です。お支払いいただけますか?」
「はい」
「最後にもう一度確認します。依頼料より仲介料としてコインを一枚、税より週に銀貨一枚を頂戴いたします。よろしいですか? 登録します。本当によろしいですね?」
コイン一枚と言うのは、依頼料が銅貨三枚でも銅貨一枚を取られるし、金貨三枚でも金貨一枚を取られる。その代わり、報酬が金貨十枚だろうと金貨一枚しか取られないし、銀貨二百枚だろうと銀貨一枚しか取られない。
税は面倒、この国の土地は全て王族の物となる。王族の土地を六つの公爵が分割管理し、さらにその下にいる侯爵、子爵、男爵などが各領地を分割して治めている。市民は土地を納める貴族に税を支払い、その税のおよそ六~八割が公爵へ、さらにそこからおよそ三割が王族へ渡る。
土地を渡るのにも税を取られるし、買い物をしても税を取られる。
土地の物を採るのだって税を取られるし、物を送っても税が取られる。
その代わり公爵を筆頭にした貴族達は民を守り、取り締まり、法を守らせ、助けなければならない。公爵家が王族に納める税がおよそ三割ほどなのは、王族は土地を貸しているだけで民を保護したり助けたりしないから。
しかし公爵達により、その威光は誰よりも強く守られる。
アイドルみたいなもの。六人で一人を輝かせる。
冒険者として働かなくともギルドに登録する人は多い。ギルドはその辺の面倒ごとを丸ごと引き受けてくれる。
ギルドだって運営にはお金がかかるし、仲介料を取るし、教会だって寄付という名目でお金を受け取る。その代わり、事務処理を丸ごと引き受けてくれる。
身に覚えのない脱税で捕まりたくなんかないし、その手の不正で牢屋にぶち込むのは貴族の常とう手段。
ギルドと教会は部署が違うだけで同一の機関だし、教会はその手の不正を絶対に許さない。国事にも口出しする。だからと言って教会が一番強いかと言えばそうでもない。教会は一つだけど、祭られた神様は八柱いるし、一枚岩じゃない。
ちなみに、税が払えない場合はギルドより強制依頼が発生し、こなせなければ脱退。最悪罪人となり、教会の庇護を失うので、貴族に捕まる。
「よろしくお願いします」
「ではこちらをどうぞ」
カードプレートを渡されて、眺める。表面には五指の指紋と真鍮色の犬の絵が記載されていた。個人認証カード。名前と制約も書いてある。穴が開いているので紐を通して首に下げる人が多い。
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