第160話 クロードきゅんの事が大好き



「カレンドール先生」


 今日そしてもしも今日で当てる事ができなかった場合を想定して中に出された子種も一応採取しておこう。


 この日の為に何度もシミュレーションしてきたのだ。


 全てを完璧にこなして小作りを性交……ではなくて成功させてみせるわっ!!


「……カレンドール先生?」

「えへえへっ…………はっ!? ど、どどどどっ、どうしたんだっ? クロードっ?」


 おっと、もうすぐで私の悲願が達成されると思うと、思わず自分の世界にのめり込んでしまっていたようで、クロードきゅんから呼ばれている事に気付くのが遅れてしまう。


「そうですね……それで、カレンドール先生。 俺は何をすれば良いのでしょうか?」


 そしてクロードきゅんは私を信頼しきった表情と、キラキラした目で私の事を見つめながらそんな事を言うではないか。


 そのクロードきゅんの表情を見ると、私の罪悪感をゴリゴリと刺激されてしまう。


 ここでクロードきゅんを襲うとこの純粋無垢で信頼しきっているクロードきゅんの笑顔が私に向けられる事が無くなると思うと、襲う気持ちが萎んでいく自分がいる訳で。


「カレンドール先生?」

「す、すまん。 あそこにあるマットが痛み始めているから処分することになったのだが、女の私ではどうにも重すぎるみたいでな。 文献によれば男性は女性よりも腕力があると言うのを読んだことがあった為クロードを呼んでみたんだが、大丈夫そうか?」


 あぁ、結局私はあのクロードきゅんの目をみてしまうと、クロードきゅんを裏切るような行為をする勇気は持てなかったようである。


 結局私は、クロードきゅんを小作りする事よりもクロードきゅんに嫌われてしまう事の方が嫌だと思ってしまうくらいにはクロードきゅんの事が好きで好きで好きでたまらない程にまで、クロードきゅんの事が大好きで愛しているのだろう。


 クロードきゅんがこの学校に来るまではまさか恋という感情がこれほど私の行動原理の中心に来るとは思いもよらなかった。


 そもそも男性が極端に少ないこの世界では同性愛者か男女関係なく両方とも愛する事ができる人だけが知ることが出来る感情であり、異性愛者である私は類に漏れず今の今まで恋という感情を知らずに今まで生きて来たのだという事がクロードきゅんに会う事で初めて知ったのである。


 それまでは男性の写真などを見てドキドキしたりしたのを恋だと思っていたのだが、本物の恋というのはそれとは全くの別物だとは思いもよらなかった。

 

「あ、はい。これくらいであれば身体強化を使えば一人で持てそうですね」

「そ、そうか。 それは良か──きゃぁっ!?」

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