第156話 信頼のおける講師
取りあえず何事もなく(何事も無かったわけではないが、俺の貞操は無事であったという意味で)俺は今日も学園へと登校し、日常となりつつある女子からの挨拶を手を振り笑顔で返して行く。
「きゃぁっ!! 私に向かって手を振ってくれましたわっ!!」
「何をおっしゃるのかしらっ!? 手を振った相手は私に決まっているでしょうっ!?」
「お前たちはどこを見ればそんな事を言えるのか。 どう考えてもクロード様が手を振ってくれた相手は私であろうっ!!」
「あ?」
「お?」
「やんのか? 二人纏めて相手するぞ?」
そして、俺が良かれと思って手を振ってしまったばっかりに目の前で友情が壊れかけているではないか。
俺のせいで彼女たちの友情が崩れてしまったとなっては変に気にしてしまいそうになる為流石にここは仲裁しに行った方が良いだろう。
俺の見ていない所では良いが、俺が見ているのであれば流石に見て見ぬふりは出来ない。
「ほら、俺の為に喧嘩は止めてくれ」
「はうっ!? クロード様っ!?」
「はわわわっ!? 話しかけられちゃったっ!!」
「やだ……っ。 一生の思い出にする為に脳内メモリーに保存しなきゃだわっ!!」
「ちなみにさっきは君たちの誰かではなく、君たちの三人に手を振ったんだ。 だからこんな事で喧嘩は止めて三人仲良くしような?」
「ええっ!! わたくしたちはこれからも仲良しですわっ!!」
「一生縁の切れない姉妹みたいなものねっ!!」
「クロード様のお陰で結束力が強固なものになりましたっ!!」
「それは良かったよ。 俺も目の前で、俺のせいで友情が壊れる所を見てしまったら目覚めが悪いからね。 それじゃぁ、これからも三人仲良くね」
そして三人の間に流れている険悪な空気が霧散し、そしてこれからも仲良くしてくれると言ってくれたので俺は彼女たち三人の頭を撫でてやると、何故か彼女たちは放心状態になり固まってしまうではないか。
しかしながら朝は時間が無く、いつまでも彼女たちにかまってあげられるわけではないので俺は硬直してしまった彼女たちを放置して教室へと向かう。
小一時間もすればきっと再起動するだろう。
「お、クロードきゅ…………クロードじゃないか。 良いところに居た。 ちょっと良いか?」
そんなこんなで今日も遅刻せずに教室まで着きそうだと思ったところで俺の担任の先生であるカレンドール先生に呼びとめられる。
このカレンドール先生なのだが、大人の余裕なのか他の生徒のように俺と接しても浮つく事もなく一生徒として接してくれるので信頼のおける講師の一人である。
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