第155話 教師だからこそできる職権乱用


 せっかく私はクロードきゅんの担任となれたのである。


 気を引き締めなければ、もしこんなところをクロードきゅんに見られでもしたら、クロードきゅんの担任になれた意味が無いではないか。


 今はクロードきゅんがいなかったから良かったものの、これをクロードきゅんがいないから別に良いではないかという思考をしていては、いつか必ずクロードきゅんがいる所でもやらかしかねない。


 その為クロードきゅんがいない時こそ、クロードきゅんがいるものと想定して行動しなければならないと私は思っている。


 それこそ今職員室にいるパメラ先生のあの涎を垂らしながら『クロード君は……年上でも良いのかっ?』などと妄想を垂れ流しながら、とてもではないが人に見せられない表情をしている姿をみてしまうと、余計に引き締めようと思う。


 そんな妄想は夜の発散で好きなだけ妄想しながら発散すれば良い。 むしろ妄想してしまうと先ほどの私や現在進行形でトリップしてしまっているパメラ先生みたいになりかねないのでできる限り控えるのと、妄想するよりもせっかく講師という立場になれたのだからどういう理由をつければクロードきゅんと二人っきりになれるかというのを考察した方が有意義であろう。


 クロードきゅんとは三年間しか一緒にいられないので、こういう些細な所で差は生まれてくるだろうし、何も策を練らなければ若い学生たちの中で仲の良い子が増えていき、そしてそこから婚約者へとステップアップしていく様を指をくわえて見ていることしかできずに三年間が終わってしまう事になりかねないのである。


 しかしながら私はだからといってパメラ先生にその事を指摘するつもりは毛頭ない。


 むしろそのまま気持ちのいい妄想に一生囚われて、何もできずに『クロードきゅんと同じ学園の講師』というもう一生訪れないであろう幸運をドブに捨てれば良いとさえ思う。


 これは戦である事はパメラ先生も重々承知であろうから、クロードきゅんが卒業してから私がその事を指摘しても『なんで今まで教えてくれなかったんだっ!!』と怒る権利はないだろう。


 さて、未だに妄想に耽っているパメラ先生の事は放っておいて、私は教師だからこそできる職権乱用…………ではなくてメリット、そしてクロードきゅんを呼び出すための内容をでっちあげ……ではなくて口実が無いか考えるのであった。





「お、おはようございますっ!! クロード様っ!!」

「はい、おはようございます。」

「きゃぁっ、クロード様に挨拶を返されましたわっ!!」

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