第151話 策士であるといえよう
そしてその日の別荘からは少女たちの歓喜の叫び声が響き渡り、その声が聞こえなくなった時には幸せすぎて気絶した少女たちが廊下に転がっており、その中にはジュリアンナもいたとかいなかったとか。
◆
昨日はどうなる事かと思ったのだが意外とみんなすんなりと気絶してくれたおかげでそこまで時間もかからずに一巡したのは助かった。
そして、今思えば初めてこの世界に転生して覗かれている心配がないお風呂に入れたかもしれない。
それはもう心の底からリフレッシュできたお風呂であったので定期的にハグをする日を作ってみるのもいいかもしれないな、と思いつつ朝食を取る。
ちなみに途中からは厨房担当のパートさんたちも混じっていたのだが、既に使用人たちが気絶した後であった為『パンツも貰ってハグと頭なでなでもしてもらうのかっ!!』というクレームは無かったというか、それを見越して使用人たちが全員気絶した事を確認してからハグと頭なでなでを求めてきたのかもしれない。
なかなかの策士であるといえよう。
しかしながら俺も前世で国民的アイドルとハグに頭なでなでしてもらえる可能性があるのだとすれば、それくらいのグレーゾーンを攻めるかもしれないと思うと怒るに怒れなかったし、これで友好的な関係を築けるのであれば安いものであろう。
「どうした? 二人とも。 食べないのか?」
「そうは言いましても昨日の余韻がまだ残っておりまして……クロード様の固い胸板へその雄々しい腕で押さえつけられながら頭をなでなでされた事を思い出すと胸が一杯でもう……っ」
「…………幸せすぎて胸が一杯だわ……。 これじゃあ朝食が食べられないじゃないの。 どうしてくれるのかしら?」
「そ、そうか……。 まぁでも朝ごはんを食べないと力が出ないからちゃんと食べような?」
「わ、分かっておりますっ」
「分かっているわよ……っ」
そしてテーブルを挟んで座っている二人は一向に朝食に手を付けようとしない為一応指摘してみるのだが、どうやら一日経ってもまだ俺のハグと頭なでなでの影響を受けているようで食欲が湧いてこないようである。
ちなみにジュリアンナは気絶したせいでそのまま俺の住んでいる別荘に泊まっている。
その事については親御さんに手紙を送っているので大丈夫であろう。
前世であれば男性の家に泊まるとなると逆にふしだらな行為に発展してしまうのではないかと不安を与えてしまうのだが、この世界ではむしろ『ふしだらな行為が起これっ!!』とむしろ応援? し始める傾向が高かったりする。
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