第146話 ありがたき幸せ
「え? ガチ? 気持ち悪くない? 他人が履いたパンツで取った出汁(出汁なのか疑問ではあるが)で作った料理を食べたいと、本気でいっているのか? アリア。 あと、厨房で勤務している他のメンバーも嫌なら嫌だと言って良いんだぞ? それにもしアリアが怖くて言えないと言うのであれば俺がこの件に関しては怒らないように釘をさしてあげるから、正直に言ってごらん?」
流石にいくら何でも他人が履いた洗っていないパンツで取った出汁で作った料理なんて誰も食べたくないであろうから、俺は再度その胸をアリア、そして厨房勤務をしている者たちに再度確認をしてみる。
いくら数少ない異性である男性の下着だからと言って、まだ百歩譲って鼻に押し当てて臭いを嗅いだり、そのまま今晩のオカズにしたりするのであれば分からないでもないのだが、いくらなんでも信じれないと、どうしても思ってしまう。
「え? クロード様のパンツなのですよね? そのパンツで取れた出汁であるのならば嫌どころか全財産叩いてでも飲んでみたいですっ!!」
「え? …………嫌どころか毎日飲みたいんですけど」
「飲めると思わせといて、それは無いですよっ! クロード様っ!!」
「アリアさんが怖くて言えないとかありえないですっ!! 私たちの意志でクロード様のパンツで取った出汁を飲みたいのですっ!!」
そこで考えらえるのがアリアの意見に逆らう事ができないのではないか? とも思ったのだが、どうやらそれも違うようである。
そして、ここにいる厨房勤務の者たち満場一致で俺のパンツで取った出汁で作った料理を食べたいと言うではないか。
ここ最近ジュリアンナにオリヴィアと、この世界では比較的まともな女性と過ごしたせいでどうやら俺は忘れていたようである。
あのニーナですら、クヴィスト家のメイドの中でも一番まともだからこそ俺の側仕えとして選ばれていたという事に。
「…………わ、分かった。 アリアは後で俺の部屋に来るように」
その為もしここで俺が断ってしまった場合暴動も起きかねないと思った俺は後で着替えて、脱いだパンツをアリアに渡す事を誓う。
「あ、ありがたき幸せです、クロード様っ!」
まぁ、本人たちが俺のパンツで取った出汁で作った料理を食べたいと言うのだから、俺のパンツ一枚で終わるのならばもうそれで良いや、と思ってしまう。
「ご主人様ご主人様」
そんな事を思っていると、ニーナが俺の袖をちょんちょんと引っ張り、上目遣いをしながら話しかけてくる。
え? 嫌な予感しかしないんだけど?
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