第145話 食べる訳がないよな
「…………はい?」
もうアリアが何を言っているのか意味が分からないのだが気のせいだろうか? しかしながら厨房にいる女性人は目をキラキラさせながら期待に満ちた目を俺に向けてくるので『あれ? おれの方が間違っているのか?』と思ってしまいそうになるのでここは、どう考えても悪いのは向こうなので自分をしっかりと持つべきであろう。
流されてはいけない。
こういう場面で一度でも場の雰囲気に流されてしまうと次からはそれが当たり前になってしまうので余計にしっかりしなければならないだろう。
そもそもアリアは『出汁を取る為に俺の使用済み洗濯前のパンツが欲しい』と言ったのである。
これって最悪俺の使用済み洗濯前のパンツからとった出汁で作った料理を俺が食べる羽目になりかねないではいか。
はやり絶対に俺の使用済み洗濯前のパンツをアリアに渡してはいけないだろう。
「…………ちなみにアリアは俺の使用済み洗濯前のパンツで取った出汁はどうするつもりなんだ? ま、まさか俺たちが食べる料理に使うとかではないよな……?」
でもやはり気になってしまった俺は、アリアに俺の使用済み洗濯前のパンツで取った出汁の使い道を聞いてみるのだが、後ろから『クロード様の使用済み洗濯前のパンツで取った出汁で作った料だなんて……た、食べてみたい……っ。 せ、せめてお吸い物みたいな感じで使用済み洗濯前のパンツの風味を生かした料理を……』というニーナの声が聞こえて来るので、ニーナの呟きはスルーしておく。
「そ、そんなまさかっ!? 私でも自分のパンツで取った出汁で作った料理なんて食べたくないですもんっ!!」
良かった……。 そうだよな。 パンツで取った出汁で作った料理なんてニーナ以外食べたくないよな。
恐らくアリアはギャグのつもりで言ったのに俺が真剣に聞いて来たので焦っているのだろう。 わたわたと身振り手振りしながら話すアリアは少しだけ可愛く思えると共に申し訳なくも思ってしまう。
うん、そうだよな。 常識に考えれば使用済み洗濯前のパンツで取った出汁で作った調理なんか食べる訳がないよな。
この世界が異常すぎて俺の中の常識もかなり狂ってき始めていることに気付かせてくれたアリアには感謝である。
「私たちの賄い料理として使用するだけですからっ!! 決してクロード様の使用済み洗濯前のパンツで取った出汁で作った料理をクロード様に出したりなんかいたしませんからっ!!」
などと思っていた俺の予想は、アリアの言葉によって見事に打ち砕かれてしまった。
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