第142話 エリート中のエリート
その者こそスキル【メッセージ】を所持している我が公爵家お抱えのメッセンジャーの一人、エミリーである。
このスキルメッセージは個人個人のスキルレベルによって差がある者の二百文字前後の言葉しか相手に送ることが出来ないので緊急でない場合は基本的に手紙でやり取りをして、役割が無いときはメイド業務をシフト制で週五日ほど雇われて働いてくれている。
ちなみに俺の側仕えとして最終審査まで一応クリアできた功績を認められて母上によって俺がいく帝都の別荘へ配属されたひとりである。
そしてこの事からもここの別荘で働いている者たちはエリート中のエリートであるはずである。
なのでちらちらと俺を見る目が時たまに獲物を見つめる猛獣の目に見えたりするのはきっと気のせいだろう。
まぁ、実際に最終審査で猛獣になりかけてしまった為脱落したので、一概に気のせいだと言い切れないあたりがこの生活に常に緊張感が漂うのだが。
恐らくニーナが長としてここの使用人たちを纏めてくれているからこそ今のところ俺の貞操は守られているのだが、それもいつまで持つかも分からないというのが今現在の状況である。
そんな事を思っているとジュリアンナは母親にこの別荘に泊まる事について伝えて、どうやら了承を得て来たようである。
その事が嬉しそうに戻ってくるジュリアンナの表情を見れば一目瞭然であろう。
そんなに喜ぶほどジュリアンナはニーナと女子会をするのが楽しみであったのであろう。
「と、泊まって来て良いってっ!! お母さんからオッケーが出たわっ!!」
「お、おう……っ。 そ、それは良かったな」
「えぇ、まさか急に友達の家に泊まると言って許可が出るとは思っていなかったから、あらかじめ断られると思っていたらまさかのオッケーが出たので自分でも今震えてしまい、いまだに少しだけ嘘だったんじゃ、もしかしたら私の聞き間違いなのでは? とも思ってしまうわね。 自重しないといけないわっ」
そして俺のもとに着くと、興奮して『ふんす』と鼻息を荒くしながら笑顔でそう俺に告げて来るではないか。
普段クールなジュリアンナの、その無垢な笑顔に思わず俺は惚れそうになってしまうのをグッと堪え、何とか俺は返事を返すことが出来た。 本当にギリギリであったと言えよう。
「じゃぁ、とりあえず晩御飯は一人分増えるように調理担当の者に伝えといておくよ。 ジュリアンナはその間ニーナと談笑でもしといて」
「そ、それならば私も一緒に行っても良いかしら? もとはと言えば私が急に押しかけて来たのが原因なんだし」
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