第140話 想像するだけで恐ろしい
「それで、ジュリアンナは泊まっていくのか?」
「とっ、ととととっ、泊まりっ!? 破廉恥なっ!!」
「いや、なんでだよ。 てか今更だろうに」
もし泊まるのであれば晩御飯の量だとか、客間は使うのか、使わないにしてもジュリアンナ用のベッドは用意しないといけないだろうし、早めに知っておくべきであろう。
てか、このツンツンしたジュリアンナは出会ったばかりの頃を思い出してこれはこれでなんだか良いものである。
「後になって知り慌てるよりかはよっぽどマシであろう」
「そ、それはそうなんだけど…………それって、そういう事だよね? まだそんな展開に発展するとか全然思っていなかったし、男性であるクロード様から誘われるとはそれこそ夢にも思っていなかったからまだ心の準備ができていないというか……なんていうか……」
「え?」
なんだろうか? 俺とジュリアンナの考えている事が微妙にズレているような気がするんだが気のせいだろうか?
いや、きっと気のせいだろう。
出なければ男性である俺がいるのに泊まりに来る理由が思いつかない。
もし男性である俺目当てであれば、とっくの昔にジュリアンナは理性のタガが外れて、以前ここで泊まった時に俺の洗濯ものを盗んだり、俺がお風呂の時に覗きにきたり、俺の寝ている布団に潜り込んで来たり、最悪俺の貞操を奪い既成事実を作る為に襲いに来たりしたはずなのだが、そんな事は一切なかったので、俺目当てと考えるのは違うと考えるべきであろう。
それにジュリアンナは元々男性が苦手であるらしいので、やはり俺目当てというのには違和感しかないし、ニーナと女子会をする為にきたという方がまだ現実味がある。
「…………え?」
「いや、ニーナと一緒に女子会で泊まっていくんだろう? 俺の事は気にしなくていいから女子は女子で楽しんでくれ。 俺は極力関わらないようにするし、男性である俺には聞かれたくない話題を話したりとかもあるだろうからな」
なので俺は早合点をしない。
ここで『あれ? ジュリアンナって俺の事が異性として好きなのでは?』と早合点してしまうとろくな事にならないだろう。
最悪『クロードに襲われそうになったっ!!』『クロードは性犯罪者っ!!』と言いふらされて残りの学園生活が地獄になってしまう可能性だってゼロではないからこそ恐ろしいし、慎重であればあるほど良いだろう。
まぁ、この世界の場合万が一『クロードに襲われそうになったっ!!』『クロードは性犯罪者っ!!』という噂を流された場合は前世と違って逆に『私でもイケるだろう』と俺を襲いに来る猛獣のスタンピードが起こってしまうだろう。
想像するだけで恐ろしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます