第139話 図星


 そしてニーナ俺の返答に対してそんな事を言うではないか。


 そんなバカな……。


 いや、まだ図星を突かれた為素直に『はいそうです』と言えなくなってしまっている可能性だってある。


 そして俺はその一縷の望みに賭ける事にした。


「え? 女子会じゃないのか? 別に俺の推理が当たっていたからと言って恥ずかしがる必要はないんだぞ?」

「クロード様、そういうところです」

「え?」

「そういうところです。 そういうところが唐変木なのです」

「……分かった。 そういう事か」


 …………なるほど。 ニーナが言いたいことがようやっと分かった。


 これはあれだ。 『そうやって論理立てて推理し、図星を突いてくるところが女心を分かっていないと言っているのです』という事なのだろう。


 前世でもさんざん言われてきたではないか。


 女性は共感を求めたいのであって答えを知りたいわけではない、と。


 確かに、そう言われてみれば確かに俺の行動は女性から唐変木と言われてもおかしくなかったなと反省する。


「恐らく今クロード様が思っている事も違います。 今日ジュリアンナさんがここにいる理由はもごもごもごっ」


 ニーナは、まだ俺に図星を突かれた事が悔しいのか俺が思っている事も違うと言い出すのだが、しかしながらそに言葉はジュリアンナの手によってニーナの口を押えられたせいで途切れてしまい『もごもご』しか聞こえなくなってしまうではないか。


 これではニーナが何をいっているのか分からないではないか。


「二、ニーナさんっ!! は、恥ずかしすぎるので本当の事は言わないでくださいっ!! 私のタイミングで言いますのでっ!! なので今はむしろ気づかれてしまうくらいならば唐変木でいいのですっ!!」

「なるほど……分かりました。 それでは私は一歩引いておりますので是非頑張ってください。 応援しております」


 ニーナが喋るのを、ニーナの口を抑えることによって強引に終わらしたジュリアンナが、顔を耳や鎖骨部分まで真っ赤に染めながら何やら小声で俺に聞き折れない声音でニーナへ何かを伝えているではないか。


 ジュリアンナから見ても、やはり俺の考えは図星であり、そしていまだに認めようとしないニーナを見て恥ずかしくなったので止めに入ったとみて良いだろう。


「とりあえず、玄関でずっと立っているのもあれですしいったんリビングへ移動しましょうか」

「それもそうだな」


 そして俺はその事を突くほど野暮ではないのでそのまま指摘することもなくリビングへと向かうのであった。

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