第138話 解せぬ

 その日、私たちは目覚めさせてはいけない大魔王を目覚めさせてしまい、このあと三時間に渡って小言兼説教を喰らわされてしまうのであった。


 



「おかえりなさいませ、クロード様」

「おかえりなさい、クロード様」

「あ、あぁ。 ……た、ただいま」


 俺が家に帰るとニーナが出迎えてくれ、その隣にはジュリアンナまでいるではないか。


 まさかジュリアンナまでいるとは思っておらず少しだけ身構えてしまう。


 一緒に帰宅したのであれば、ついでに俺の家に寄っていくというのであれば分かるのだが、俺はジュリアンナと一緒に返っておらず、なんならオリヴィアと放課後デートというこの世界ではもう一生味わえないものと思っていた甘酸っぱい青春の一ページを謳歌してきたのである。


 そのためジュリアンナはそのまま帰宅しているはずで、しかも放課後デートの帰りであるが故に普通に日も沈み、周囲は真っ暗になっているにも関わらずジュリアンナがいるとは誰が思えるだろうか。


 しかもニーナとジュリアンナは俺の放課後デートの後をつけてた筈である。


 その為放課後一緒に二人で勉強しようとかいう理由も当てはまらない訳である。


「あ、なるほど。 そういう事か。 納得」


 しかしながらこの俺の天才的な頭脳があればそんな謎も簡単に解いてしまうのだから恐ろしい。


「……何がなるほどなのでしょうか? 申し訳ないのですが教えていただけますと大変うれしく思います」


 そんな俺の反応にニーナが気になったのか俺が何に納得したのか聞いてくるので素直に答えてやる事にする。


「いや、今日はニーナとジュリアンナが一緒に下校(俺とオリヴィアとの放課後デートの尾行)して、そのまま女子会を開くためにジュリアンナが泊まりに来たのであろう?」


 そして二人して俺の放課後デートをネタにして盛り上がるのであろう。


 こういう話はいつの時代も女の子の大好物の一つであると言うしな。


 そして俺が完璧な推理を披露したというのにニーナとジュリアンナは何故か可哀そうな目を俺に向けると、二人してため息を吐くではないか。


 解せぬ。


「ご主人様って唐変木ですよね」

「失敬な。 おれはいつだって女の子からの好意は見逃さないように過ごしているからな。 どんな些細な行為であろうとも拾い上げてみせる自信しかない俺に向かって唐変木とはこれ如何に」

「では、なんで今ここにジュリアンナさんが居る事を、そしてご主人様を私と一緒に出迎えた事をどう推理すれば私と女子会をする為という答えに行き着くのか私には唐変木でなければ何なのかわかりません」

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