第136話若い女性の方が良いでしょう?
「……え?」
「原本が他にあるのだったら別に今手元にあるこれを私にくれても良いよね?」
「いや、でも……」
「い・い・よ・ね?」
「あ、はい。 あげます」
「ありがとうっ!!」
そして私は妹の友達であるミリアから強引に写真を奪う……ではなくて、妹の友達であるミリアの了承をちゃんと得てクロード様が私に向かって『あーん』してくれている一瞬を写した写真を貰う事が出来た。
そもそも原本は別途持っていると言っていたのでこの一枚ぐらい半ば強引にぶん捕ったとしてもまた複製すればいいだけなのでミリアからすれば痛くも痒くもないだろう。
少しばり、そう、もう一枚複製する時間がかかるくらいで、それ以外は何も損は無いだろう。
それに複製する時間が無駄にかかってしまうからその分の金銭を要求してきたとしても私は今持っているお小遣い全てを捧げてもいいとさえ思っているし、この写真にはそれだけの価値があると私は思っている。
何せ、クロード様に『あーん』をしてもらっている女性は私本人なのだから。
「お、おおおおおお、お姉ぇ……っ!!」
そんな事を思っていると妹が写真を持つ手をプルプルと震わせながら私を呼ぶ。
その私を呼ぶ声もどことなく震えていた。
「何? キアラ。 今私はこの写真をどうやって飾ろうか、それこそどのようなケースに飾ろうかとか、どこに飾ろうか、壁掛けにしようか、引き伸ばして拡大して天井に貼ろうか悩んでいる所だから忙しいの。 手短にしてよね」
「わ……っ」
「……わ?」
「私にもクロード様を紹介してっ!!」
「いや、え? 普通に無理なんだけど?」
「なんでよっ!? クロード様から『あーん』してもらえるくらい仲が良いのならば妹の一人や二人位紹介してくれてもいいじゃないっ!! っていうかクロード様に『あーん』をしてもらうなんて卑怯よっ!!」
「卑怯って、私は何も卑怯な事なんか何一つしてないわよ。 そう、あの出会いはまさにたまたまで、むしろ逆にクロード様から私の方へ近づいてきてくれたし。 確かに放課後デートは私から提案したけど、それも半分冗談で言っただけで言った本人である私も忘れていたくらいだし。 …………でも、クロード様は私がクロード様と放課後デートをしたいというのを覚えていてくれた。 ただそれだけだし」
「……………うざい。 出会い自慢とか放課後デートの切掛け自慢とか、そんなのどうでも良いから」
「う、うざいってあんたねぇっ!?」
「とにかく、お姉ぇはクロード様に私を紹介してくれるだけでいいの。 クロード様も男ならばどうせデートするならば若い女性の方が良いでしょう?」
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