第135話 私はこの一枚が欲しい


 欲しい……はっきり言って私の今持っているお小遣いを全て支払ってでもこの一枚が喉から手が出るほど欲しい。


 欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しいっ!!


 絶っっっっ対欲しいっ!!


 だって、あんな事などもう一生訪れないような夢の時間であることは間違いないであろうし、私はあの時の事を思う出しながら生きていくと思っていたのだけれども、それが十年二十年と年月を費やすにつれてあの時の鮮明さは失われていく事は仕方のない事だと半ば諦めていたのである。


 それこそ『写真の一枚でもあればなぁ』なんて事を思っていたのだけれども一体誰があの時の私たちを好き好んで写真に撮ってくれるというのだ。


 たとえ写真に撮ってくれたとしても私が写らないようにクロード様だけを撮るだろうし、私だってそうする。


 なのでもう端から諦めていたのだけれども、そんな私の手には今、クロード様が私にクレープを『あーん』しながら食べさせてくれている写真があるではなか。


 しかもこの時のクロード様の表情が『いやいややりました』とかではなく、わたしの勘違いかも知れないのだが、まるで私を慈しむような表情をしながら私に『あーん』をしながら食べさせてくれているではないか。


 あの時の私はクロード様と一緒に放課後デートすることが幸せすぎてキャパシティーを超えており、幸せすぎて気絶してしまわないようにするのにいっぱいいっぱいであった為クロード様の表情をしっかりと確認することが出来なかったのである。


 まさか、こんな表情をしながら放課後デートをしてくれていたなんて……あの時の私がその事に気付いていたら間違いなく昏倒していたであろう。


 今でも私の動機が激しくなり、私を慈しむような表情で『あーん』してくれているクロード様の写真を見る度にクロード様への気持ちが溢れ出してきてキュンキュンし過ぎで死んでしまいそうになる。


 だからこそ私はこの一枚が欲しい。


 ずっと眺めていたい。


「と、いう訳なので…………オリヴィアさん?」

「何かな? キアラちゃん」

「いえ、オリヴィアさんがクロード様と放課後デートをしている証拠を見たのでしたらその証拠である写真を返して欲しいんですけど……?」

「……原本は別にあるのよね?」

「そ、そうですが……?」

「ちょうだい」

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