第131話 全く集中できない
「いや、ごめんごめん。 ついオリヴィアが可愛くて意地悪してしまった」
「も、もうっ!! クロード様ったら、そんな冗談は言わないでよっ!! …………か、可愛いってっ!! 今クロード様私の事を可愛いって言ったっ!? や、やばいわっ!! もう私死んじゃうんじゃっ!?」
「冗談じゃないんだけどな?」
そして相変わらず心の声が漏れ聞こえており、初心なのが丸わかりの反応をしているオリヴィアへオリヴィアの事が可愛いと思っている事は嘘では旨を伝えた後、俺は本日何度目かのイケメンスマイルを行使する。
「はうっ!?」
するとオリヴィアは心臓がある部分を両手で制服を握りしめながら苦しんでいるような、それでいて幸せそうな表情をし始めるではないか。
本当に、俺が行動すると想像通りの対応をしてくれるので見ていて楽しい上に、普段であれば恥ずかしすぎるナルシスト的な行動も恥ずかし気なくできるので、なんだか楽しくなってくる。
そんな事を思いながらふと後ろを振り返ると、ニーナとカレンドールがボートに乗り込んでいるのが見えるのだが、オリヴィアはニーナとカレンドールにつけられている事にはまったく気づいていないようで、今もなお俺の目の前で顔を真っ赤にしながら「もうっ、もうっ、からかわないでよっ!!」と顔を真っ赤にしながら俺の胸を軽く叩いてくる。
まぁ、ニーナとカレンドールにつけられているからといってオリヴィアとのデートを阻止しようと邪魔してくるわけでもなく、ただ少し離れた場所から俺たちの事を盗み見ているだけなので、彼女たちは放っておいても良いだろう。
そんなこんなでオリヴィアとの出会いはたまたまであったのだが、まさかこの世界で前世のような甘酸っぱい体験ができるとは思ってもいなかった。
本当にオリヴィアには感謝である。
◆
「ただいま…………」
まさか私があのクロード様と放課後デートをするとは、自分でも想像できなかったというのに誰が想像できたであろうか。
しかも当初は二人で一緒に帰るだけであったのにも関わらず私が無意識のうちに『放課後デート』と言ってしまったお陰でこうしてクロード様と実際に夢のような放課後デートができたので、過去の私には良くやったと褒めちぎてやりたい気分だ。
「おーい、お姉ぇ? ボケーとして心ここにあらずって感じになっちゃってるけど大丈夫かー? ていうか可愛い可愛妹の声が聞こえている? おーいっ」
そして、せっかく私がクロード様との放課後デートの思い出に浸っていると、妹が私の前で手を振ったり耳元で声をかけてきたりとうっとおしくて全く集中できないではないか。
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