第127話 友情というようなもの
するとオリヴィアとイチャイチャしているあの光景が、まるで私に対して行っているかのような錯覚に陥って来るではないか。
「あ、これやばいかも……」
確かに、これ程とは思いもよらなかったのだが、あの光景を脳内変換して自分に置き換えてしまった場合、確かに幸せすぎてぶっ倒れてしまうニーナさんの気持ちが痛いほど理解できる。
しかも、ニーナさんが野良猫を使って説明してくれたように、あそこにいるオリヴィアさんに対してクロード様がまるでお伽噺の中にでてくる両想いの男女カップルのような行動を取るという事は、同じ女性である私に対しても同じような対応をしてくれるという事でもあり、そして私とニーナさんはクロード様と二人で出かけるチャンスがこの世界の中でも他の女性たちと比べてもかなり確率が高いのである。
それこそ先ほどニーナさんがおっしゃってくれたように次オリヴィアさんの立ち位置にいるのは私たちのどちらかかもしれないのだ。
そう思うと幸せすぎてもう……っ。
「ほらっ!! しっかりしなさいジュリアンナッ!! クロード様の使用済み洗濯前のインナーですっ!!」
「ふがふが……」
「こ、これは…………クロード様のにほいっ!?」
「はっ!?」
「気が付きましたか……。 その様子では危なかったようですね。 一応先ほど私を妄想の世界から現実世界へと戻してくれたお返しですので、お礼とかはしなくて大丈夫ですから」
そしてニーナさんはそう言いながらクロード様のいる方へと視線を戻すのだが、その頬は少しだけ赤く染まっているのが見える。
なんだかんだで照れているニーナさんは可愛いく、そして私がもしクロード様と結婚できたその時は、残り五枠の内の一枠はニーナさんが良いなと思ってしまう。
しかしながら、ふがふが。 クロード様のインナーは、ふがふが。 下着とはまた違った良いはほりがするわね、ふがふが。
「いえ、そえでも私をそのまま妄想の世界へと追いやって助けないという選択肢もあったはずなのでちゃんと感謝の言葉は言わせてもらうわね。 私を妄想の世界から現実世界に戻してくれてありがとうございます」
「どういたしまして」
そして私たちは、薄っすらと、しかしながら確かにそこには友情というようなものを感じながらクロード様を二人で観察するのであった。
◆
うーん、あいつらいつまで隠れて俺たちを眺めているつもりなのだろうか?
さすがにばれていない体で眺めているので『実はかなり前から気付いていました』というのは可哀そうな気がするので声をかけたりはしないのだが、なんで二人は隠れて俺を眺めているのかは少しだけ気になってくる。
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