第126話 幸せすぎて私、もう耐えられない

「えっと、分かるような分からないような……」


 ニーナさんの言葉を聞いてなんとなく分かったような分からないような表情を私がしていると、ニーナさんはやれやれといった感じでもう少し嚙み砕いて教えてくれる。


「まったく、ここまで言ってまだ分からないのですか?」

「す、すみません。 そもそも男女の恋愛観というのは都市伝説か何かだと思っていたから、まさか自分がクロード様とこういう関係になるとも想像すらしていなかったもの。 分からなくても仕方がないでしょう?」

「その開き直り方、嫌いではないですが、そうですね……これを男女の関係だと思うからややこしく思うのです」

「と、いうとどういう事かしら?」

「そうですね、例えばですけど私が今野良猫を見つけて餌で釣っておびき寄せ、可愛がるとします」

「は、はぁ……。 今なぜニーナさんが野良猫をかわいがる話になるのかはよく分かりませんが、ニーナさんが野良猫を可愛がるからどうなるのかしら」

「まったく、せかす女はモテませんよ? それでは先ほどの続きなのですが、別の日、違う野良猫が私の目の前に現れたとします。 そして私の手には以前と同じように猫を釣る為の餌があります。この時の私は目の前に現れた猫をどうすると思いますか?」

「それは誰が聞いても簡単な答えなのでは? その日も前の野良猫にそうしたように餌で釣って可愛がるのでは?」


 いったいニーナさんは何当たり前の事を言っているのだろうか? そう思いながら私は答えると、どうやら私の出した答えは正解だったらしくニーナさんは嬉しそうにうんうんと頷く。


 というかこの質問の答えを間違えるような人はいるのだろうか?


「そうです。 私は以前そうしたように今回であった野良猫にも餌で釣って可愛がるでしょう。 もちろんその猫が人を怖がるのであれば遠巻きに餌を食べる愛くるしい姿を愛でるでしょう。 猫と言えども十猫十色ですからね」

「はぁ……」

「では、今回の話である猫を私たちに置き換え、そして私と立ち位置をクロード様に置き換えて今一度クロード様とオリヴィア様を見てください」

「…………こ、これはっ!? なるほどっ、なるほどなるほどっ!! 見えますっ!! ニーナさん、私見えますっ!! そういう事ですねっ!! オリヴィアさんに対するクロード様の対応がそくっりそのまま私に返ってくるビジョン(妄想)がっ!! あっ、幸せすぎて私、もう耐えられないわね……」


 ようやっと私はニーナさんが言わんとしている事『例え野良猫が変わったとてニーナさんは同じように野良猫を可愛がる』という事を理解した私は今一度オリヴィアさんとクロード様を見る。

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