第128話 大したものだ
あと数十メートル離れた場所である為あまり良く見えないのだが、二人が手に持っているのは俺の下着とインナー用のTシャツではなかろうか?
流石にオリヴィアとデートしているというのに他の女性が手に持っている物が気になるからという理由で無色系魔術である遠視を行使してまで覗き見るのは流石にオリヴィアに対して失礼だろう。
とりあえずニーナとジュリアンナについては後で追及するとして今は目の前の女性であるオリヴィアに集中するべきであろう。
それに、俺自身もオリヴィアとのデート、というか初心なオリヴィア反応に集中したいのでニーナとジュリアンナの事は考えないようにしよう。
「あ、オリヴィア」
「な、ななななっ、何かな?クロード様っ!?」
しかしながらクレープを『あーん』しながら食べさせ合い、間接キスまでした威力は大きすぎたようで今なお幸せそうな表情で呆けているオリヴィアへ声をかける。
そして、おそらく半分妄想の世界へと旅立っていたであろうオリヴィアが俺に声をかけられ軽くてんぱってしまっている所も可愛く感じてしまう。
そしてその反応からも何だかんだ言ってもギャルっぽい見た目に反してかなりピュアでいい子なんだろうなというのが伝わって来てほこりしてしまう。
「とりあえずこのままだと日が暮れちゃうからボートの上で食べてみない? ボートの上はボートの上でまた違った雰囲気ではあるものの、それはそれでデートぽいし、オリヴィアさえよけば移動しようと思うんだけど? あ、ちなみに俺はもうクレープは食べ終えたのでボートは俺が漕ぐよ」
「え? あ、ごめんっ! ぼけっとしてたみたいで全然クレープ食べてなかったみたいっ!! そしてボート、ボートねっ!! でも確かにクロード様の言う通りボートの上で食べるクレープはとても美味しそうよね、確かにっ!!。 …………え? それってなんだか想像しただけで心臓の鼓動がやばいんだけどっ!? しかもクロード様がボートを漕いでくださるなんてっ!! そのクロード様が漕ぐボートの上でクレープを食べる……本当に私、こんなにし幸せでいいのだろうか? 明日あたり今日幸せだった分だけ嫌な出来事が私の身の周りに起きてしまうと言われても信じてしまえそう……っ」
そしボートへと今から向かう事を了承した言葉の後は相変わらずの、妄想が駄々洩れの独り言である。
よくぞこの、どう猛な肉食獣へと女性は進化していったこの世界でピュアさや恥じらいといった乙女らしさを失わずに生きてこれたものである。 大したものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます