第121話 バッチ来いって感じ
「あ、あの……クロード様?」
「なんだ? オリヴィア」
「その……ちょっと密着しすぎなような気がするんだけど……?」
そしてオリヴィアも顔を真っ赤にしていると言うことは当然俺がオリヴィアに密着している事を意識しまくっているという事でもあし、ついに耐えられなくなったのか俺とオリヴィアとの距離について『密着しすぎでは?』と、おずおずといった感じで顔を真っ赤にしながら上目遣いで聞いてくる。
うん、その表情が見れただけでも密着して座った甲斐があったというものであろう。
これほどコストパフォーマンスのいい見返りがもらえる行為はそうそうないだろう。
「そうか? 同じベンチを使っているんだからどうしても密着してしまうのも仕方ないと思うんだけどな?」
なので俺はすっとぼけてオリヴィアと密着したままの状態を維持する。
このボーナスステージをそうそう手放すはずがないではないか。 オリヴィアには悪いのだがこのままでいさせてもらうとしよう。
「いや、でも……ベンチの両端がかなり余っているような気がするんだけど? …………ふぉーーーーっ!! 肩が、肩が密着してるっ!! あぁ、心臓の鼓動がやばいくらい脈打っているっ!! あぁ、クロード様の温もりが私の肩を通じて伝わって……………………あ、やばい。 幸せすぎて一瞬意識が飛んでた………」
「そう? 俺にはベンチの両端は余っていないように見えるけど? それともオリヴィアは俺と密着して座るのは嫌だった? 嫌だったらごめんな? すぐに離れるから」
「嫌じゃないっ!! 嫌じゃないですっ!! ていうかもうバッチ来いって感じよねっ!!」
うん、テンパる姿も初々しくて可愛いな……。
そんなオリヴィアをずっと愛でていたいのだが、流石にクレープの生クリームが溶けてしまうのでここら辺でオリヴィアを揶揄うのを一旦やめて、クレープを食べることにする。
とは言っても当然クレープでもオリヴィアの可愛い反応を見るためにちょっかいをかけるのだが。
「じゃぁ、落ち着いたところで早速クレープを食べようか」
「そ、そそそそそ、そうねっ!! …………やっべ、これ私緊張で味なんか分からないかもしれないんだけどっ!! でも幸せすぎてもうクレープの味なんかどうでも良いとさえ思えてしまうっ!!」
「うん、これ普通に美味いなこれ。 オリヴィアのはどうだ?」
「お、美味しいと、思うよ?」
「なんで疑問系なんだよ。 俺のも食べていいからオリヴィアのを一口食べていいか?」
そして俺はそう言ってオリヴィアの了承を得る前にオリヴィアの持つクレープへ『がぶり』とかぶりつく。
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