第118話 関係なのでしょうか?
「い、いらっしゃいませ……」
俺とオリヴィアが手を繋いで行くと、カウンターにいる従業員のお姉さん出迎えてくれるのだ、一瞬血の涙を流しながら笑っているように見えたのだが気のせいだったようだ。
「ところでオリヴィア?」
「ひゃ、ひゃいっ!? な、何かなっ!?」
「いや、そんなに驚かなくても良いだろう? オリヴィアは何を食べたいのかな? と思って聞いただけなんだが?」
「あ、なるほど。 そんな事ね。 て、てか驚いてなんかないしっ!? この幸せな時間が一生続けば良いなんて乙女みたいな事思ってないしっ!?」
うん。 必死に取り繕うとするオリヴィアは可愛いな。
「それで、オリヴィアはどのクレープを食べるか決まったのか?」
「そ、そうね……逆にクロード様は何を食べるか決まったの?」
「俺か? 俺は……そうだな。 王道ではあるけどやっぱりはじめて訪れる店出し王道は外せないかなと思っていてイチゴかチョコバナナかで迷っているところだ」
「なるほど…確かにはじめて行く店だからこそスタンダードなものを食べてその店のおいしさの指標にするよねっ!! 私もそのどちらかにしようかな……?」
「じゃぁ、俺がチョコバナナでオリヴィアがイチゴのクレープを買って、半分ずつ食べ合いっこしよっか?」
「あ、それ良いねっ…………た、たたたた、食べ合いっこっ!? そそそそ、そんな事ってっ!?」
「これだと両方とも食べれるだろ? 俺ば別に良いけどオリヴィアが嫌って言うんならば──」
「嫌じゃないっ!! 全然嫌じゃないっ!! 店員さんっ!! チョコバナナとイチゴのクレープを一つずつお願いしますっ!!」
あぁ、この感じ、癒される……。
これがもしニーナならば交換どころか一口ごとに食べ合いっこしようとか言い出しそうな所を半分ずつでここまで赤面しながらあたふたいている姿を見るとこっちまでほっこりしてくる。
「あの……つ、つかぬことをお伺いするのですが、お、お二人はどういった関係なのでしょうか?」
そんな感じでオリヴィアとイチャイチャしていると店員さんがオリヴィアのオーダーを取る前に俺たちの関係を聞いてくるではないか。
まぁ確かにこの世界では俺たちの関係を気にならない者はいないのだろうと思うので店員さんが俺たちの関係を聞いてくるのも理解できる。
そもそもクレープ屋に行くまでにもかなりの人に凝視されまくったので、やはり男性である俺が女性と二人で手を繋いで歩くというのは目立つのだろうし、その分気になるのであろう。
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