第117話 この出会いに感謝である
「…………た、確かに……っ!」
これは目から鱗である。
ニーナさんから教えられるまで何でこの事に気づけなかったのであろうか。
この嫉妬心も、胸が潰れそうで苦しい感情も、全てクローだ様と出会えたからこその感情なのである。
それはクロード様が私に与えてくれた感情であり、クロード様と親密な関係にならなかったら知ることもなかった感情なのである。
そう思えば今私の心の中で暴れそうになっている嫉妬心も、胸が潰れそうで苦しい感情も、全てクロード様が与えて下さったのだと思えばなんだか愛おしくお案じてしまうのだから不思議である。
「どうですか? ジュリアンナさん。 今あなたの感情に住み着いている嫉妬心は」
「えぇ、そうね。 なぜだか今は愛おしく感じてきてしまいます」
「そうでしょうそうでしょう。 ですから尾行しましょうっ!!」
そしてニーナさんはそう言いながら胸を張りながらそんな事を言うではないか。
え? こう言う場合はクロード様とオリヴィアさんとの間に入って四人で一緒に帰る流れではなかったのか。
それがなぜ尾行になるのか。
「何不思議そうな顔をしているのですか? 良いですか? 好きな人を尾行する経験も、好きな異性がいるからこそできるのですよ?」
「た、確かにっ!! 確かにそうですニーナ師匠っ!! まさに目から鱗だわっ!! この尾行も考え方を変えれば好きな人を尾行というわけで、即ちクロード様という恋心を向ける対象がいるからこそと言う事ねっ!!」
そして私はニーナ師匠と一緒にクロード様を尾行することにするのであった。
◆
さて、これからオリヴィアと一緒にクレープを食べに行くのだが、そのために俺はもう一度オリヴィアの手を握る。
その握ったオリビアのてから彼女の緊張具合がダイレクトに伝わってきて、それがなんだか初々しくも感じて『俺は今まさに学生デートをしているんだっ!!』というのを実感できる。
それがなんだか俺の方まで気恥ずかしく感じてきてしまい、思わず無性に夕日に向かって走り出し、叫びたくなってくる。
あぁ、こういうの良いな……。
この世界ではこういう甘酸っぱい青春はできないものだと思っていたのだが、オリヴィアのおかげで俺は今甘酸っぱい青春をしていると胸を張って言える。
この出会いに感謝である。
とりあえず周囲の嫉妬に滲んだ目線さえ気にしなければ、なのだが。
そんな事を考えながらオリヴィアと一緒に手を繋いで歩いていると、気がついたら今流行りのクレープ屋に着いたみたいである。
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