第115話 尾行されている
あ、ヤベェ。
流石に『お姫様』呼びはオリヴィアにとって刺激が強すぎたのか返事と頭の中の言葉が入り乱れてしまっているあたり、オリヴィアの興奮具合が分かる。
「ほら、夢じゃないから落ち着いて」
「うん、落ち着く…………」
そして俺はいまだにテンパっているオリヴィアを軽く抱きしめて、背中を軽くポンポンと叩いてやると、どうにか落ち着いてくれたようである。
その表情は幸せすぎて魂が抜けかけているようにも見えるのだがきっと気のせいだろう。
「それじゃぁ、まずはクレープを食べに行こうか」
「うん。 食べる。 クレープ、食べる」
そして俺はいまだに夢現のようなオリヴィアの手を引いてクレープを食べに向かう。
その後をニーナとジュリアンナに尾行されているとも知らずに。
◆
「ほ、本当に尾行するのかしら? 一応これはクロード様にとってはプライベートな空間であるとも思うので尾行するのは控えたほうがいいかと思うのですけれども?」
「あらそう。 そう思うのでしたらそのまま回れ右して帰ってくれてもいいですけど?」
今私はニーナさんと一緒にクロード様を尾行していた。
というのも、クロード様は『忘れ物を撮りに行くから先に帰ってくれていい』と言ってくれたのだが、流石に置いていくわけにもいかずにそのまま馬車で待っていたのだけれども一向に忘れ物を取りにって帰ってくる気配がないので不思議に思い、もしかしたら発情した雌猿に襲われいるのではと不安がよぎりニーナさんと一緒に教室まで行ってみることとなった。
クロード様のことだから雌猿にたとえ襲われたとしても大丈夫だと思えるくらいには魔術や武術に長けているのだけれども万が一というのもある。
そんなはやる気持ちを抑えつつ目的地である教室に近づいてみるとクロード様と談笑する女性の声が聞こえてくるではないか。
しかもこれから一緒にその女性はクロード様と帰るとのこと。
これはいわゆる放課後デートという事なのではなかろうか。
羨ましい……。
そっと教室を覗いてみると、クロード様と話している声の主はあのオリヴィアではないか。
しかもいつもはギャルギャルしており、そしてクロード様に群がる女性たちに対して以前の私ほどではないものの冷ややかな視線を送っていたので私はてっきりクロード様には興味がないのかと思っていたのだが、盗み見たオリヴィアの表情は完璧に恋する乙女の顔をしているではないか。
いや、そうではなくてここから先は流石にクロード様のプライベートな時間であるため私たちが口を出して良いものではないだろう。
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