第97話 ギラついていた

 その唐変木ぶりにジュリアンナの恋心が伝わっていない事を安堵するものの、私達はライバルを蹴落とす以前にクロード様へ惚れている事を気づかせなっければいけないという新たな壁の存在に気づく。


 しかもその壁は、ジュリアンナがあれ程分かりやすい(あれで本人は隠しているつもりなのだろうが小等部の学生でも分かってしまうほど、バレバレである)ほど恋する乙女の表情をしているのだが、それですらクロード様は気づいていなさそうである。


 その事からも、新たにその壁の厄介さが分かるというものである。


 しかしながらその壁が大きければ大きいほど、越えるのが困難であれば困難であるほど恋の燃えるというものであろう。


 そのせいか周りのクラスメイト達の目はギラついていた。


 そんな事を思いながら私は周囲がクロード様を猛獣の目でひっそりとみつめ、虎視眈々と狙っているなか、一人ネイルの手入れをしていた。


 少しだけ先端が剥げ始めているネイル。 


 その剥げ始めたネイルに除光液を馴染ませ、剥げた部分と剥げてない部分の境目をぼかし、透明のマニキュアを少量塗って凸凹を無くす。


 そして再度塗った後に仕上げでトップコートを塗る。


 カラーはピンクに先端は金色だ。


 うん、我ながら可愛くできたと思う。


「オリヴィアはクロード様の事気にならない系?」


 そしてちょうど剥げたネイルの修復作業を終えたところで親友であるミリアは目に炎を宿しながらクロード様の事を眺めているのが見てわかる。


 その事からも、ミリアも他のクラスメイトたちと同様にクロード様を狙っているのであろう。


 因みにミリアはふわふわした可愛らしいふわふわしにくりくりした大きな目にほわほわした雰囲気で一見癒し系なのだが、暴力的な程の大きな胸を所持しているので侮れない。


 私が男性だったら間違いなくミリアの誘惑を断る事ができないだろうと思える程には同性から見てもふんわりおっとり系なのに暴力的な胸というギャップは魅力的である。


 このミリアですらなびく素振りを見せないクロード様なのである。


 ここでガッツいた場合いままでの努力が無駄になるどころか、最悪クロード様から『あの娘いつもガッツいているな』と思われてしまう可能性もあるのだ。


 そう思われてしまったらもう最悪である上にそこから挽回するのは容易ではないだろう。


「うーん、どうだろうねぇ。 気になるっちゃ気になるけど、クラスメイト達のようにがっつく必要もない感じ?」

「そんなんじゃ、本気になった時にはもう花嫁を六人選ばれていると思うんだけど? 後で後悔しても知らないよー?」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る