第96話 絆が深まる
しかしながら私は先生達のその態度で気づいてしまう。
先生達もまた本気でクロード様を狙っているという事に。
そしてその事に裏生徒会のメンバー全員もが気づいているだろうことが、ピリついた空気から伝わってくる。
行き遅れは行き遅れらしく大人しくしてほしいものである。
「そこのお前、今ものすごく失礼な事を考えていなかったか?」
「いえ、そんな事を考えるわけないじゃないですかっ! ただ先生方は行き遅れというポジションなのだから変な期待してもがかなくても、と思っただけですよっ!」
「なるほど……君はどうやら死にたいようだな」
「真実を言ったまでですが?」
そしてこの日の放課後、裏生徒会メンバー同士で乱闘が起き、一周回って裏生徒会メンバー同士の絆が深まるのであった。
◆
裏生徒会がジュリアンナの変化に気づいていたように、クラスメイト達もまた、ジュリアンナの変化に気づいていた。
そう、あの男嫌いのジュリアンナが恋してしまっている事に。
勿論、ジュリアンナが恋する対象はクロードである。
そしてそれは誰が見ても一瞬にして分かるくらいには周囲からしてみればバレバレであり、その恋する乙女となったジュリアンナを見て当初クラスメイト達は焦っていた。
ただのクラスメイト一人がクロードへ恋心を抱くという事であればここまで焦る事は無かったのだが、今回クロードの事を好きになった者がジュリアンナであり、彼女は今『クロードの世話係』という肩書きがあるのである。
それは言い換えれば、学園では四六時中クロードの近くにいる事を許されている役職である。
そんな、裏山けしからん『クロードの世話係』という肩書きを持っているからこそクラスメイト達は当初こそヤバいのではないのか? と騒ついていたのだが夕方にもなるとそのザワつきも落ち着いており、むしろ逆に我々クラスメイトは新たな問題が発覚してしまった。
そのため今はジュリアンナの事よりも、その新たに発覚した問題の原因と対処法を模索し始める。
その新たな問題とは『もしかして、クロードってとんでもないほどの鈍感、なのではないのか?』という問題である。
それに気づいた理由なのだが、あんなに分かりやすい、それこそ朝のホームルームの時点でクラスメイトのほぼ全員がジュリアンがクリードに惚れてしまっている事くらい分かりやすいにもかかわらずクラスメイトの中でただ一人、クロードだけはジュリアンナがクロードに惚れている事に気付くどころか怪しむそぶりすらしていなかた。
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