第94話 愛してしまっているのだ
「いやまあ、そう言っていただけると運んだ甲斐があったよ」
そう言いながらクロードは歯にかみながら私へ笑顔を向けてくれる。
そのクロードの笑顔をずっと見ていたのだけれども、恥ずかしさが相待って直視できない上に、私がクロードの顔を凝視しているというのがバレてしまうのが恥ずかしいというのもある。
「まぁなんだ、今までよく挫けずに頑張ってきたな。ジュリアンナはすごいよ」
そしてクロードは私の頭を優しく撫でてくれるではないか。
それは反則だと思う。 そしてやはり反則級であるため私は自分の感情に耐える事ができず、気がついたらクロードの胸に飛び込んでしまっていた。
「おっと、どうしたんだ? 急に抱きついてきて…………そっか、まぁ、この胸でいいならいくらでも借りていいからな」
そしていきなり私がクロードの胸に抱きついた事で、当初はクロードもビックリしていたのだが、私が声を殺して泣いている事に気づいたのだろう。
クロードは私の頭を優しく撫でながらいくらでも胸を貸してくれると言うではないか。
そう、今だけはこのクロードの胸板は私だけの胸板と言っても過言ではないだろう。
そう思った瞬間、私の涙はピタリと止まり、私はクロードにバレないように胸板の香りを堪能するのであった。
ちなみにクロードの胸板の香りは、中毒性があるのでは? と思える程にはいい香りであったと言っておこう。
◆
そんなこんなで昼食を食べ終えた頃に、クロードの住んでいる別荘に誰かが来たようである。
男性であるクロードの家へと訪れる事ができる者は限られているであろうし、もしそうでない者である場合は最悪犯罪者として捕まってしまう為、一体誰が来たのだろう? と思い私は少しだけ気になって窓の外を見て見ると、そこには私の家の馬車が止まっているではないか。
そして、私がそのことに気づいたのと同時に訪問者がリビングへと入ってくるのだが、その者とは私のお母様であった。
どうやらわざわざクロードが家出した私を匿っている事をお母様に伝えてくれたみたいである。
そしてお母様は私を見つけるなり抱きついてきて、泣きながら今までの事を謝罪してくるではないか。
そんな事をされたら私も泣く事を我慢できる訳もなく、お母様と抱き合いながら二人して泣く。
今まで泣くときは怒りや悲しみといったネガティブな感情が多かったのだが、今日一日は嬉しいという感情で二回も泣いてしまう。
まさか私にこんな日が来るとは思っても見なかったのだが、それもこれも全てはクロードのおかげであろう。
そんなクロードの事を好きになって良かったと思うし、たとえクロードとは結婚することができなくても私はクロードの事を好きであり続けるのであろう。
そう思えてしまう程には、私はクロードの事を愛してしまっているのだ。
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これでジュリアンナ編は終了です。
ジュリアンナ編が面白かったと思った方は星をくれると嬉しいです( ^ω^ )にっこり
次回からは新ヒロインを出すつもりですが、どんなヒロインにしようかと迷っております(^ω^)にちゃ
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