第83話 許されると思っているのかしら?

 しかしながらあのダークエルフへ復讐するにしてもなんにしてもまずは資金が必要である。


 その為にはまずは俺の男性保護地区にある家と比べると貧乏臭がする家に住んでいる貴族の女性から弁当屋のオーナーにさせてもらうとしよう。


 そしてこの女は安月給で働かせれば良い。 それこそ一日一食くらい食える程度には日銭を渡しておけば良いだろう。


 そもそもこいつから奪った会社などは、俺が奪った瞬間に軒並み全て業績が悪化し始め、今ではぎりぎり何とか黒字程度の売上しか稼いでこないところを見ると、俺にいらないゴミ会社や事業ばかりを押し付けて唯一長期的に儲けている弁当屋だけは俺に渡さなかった理由が今になって分かった。


 この貴族の女は俺を騙して、実は弁当屋が一番安定して儲けるという事を隠していたという事である。


 本来であればお仕置きをする所なのだが、今だけは俺に弁当屋のオーナーにさせるという条件で許してやろう。


「ねぇ、さっきから叫んでどうしたの?」

「お、ちょうどいい所にきた。 今さっきここの部屋に不法侵入したダークエルフの女性に俺の身体を女体化させられてしまったんだ。 見てくれよ、この身体を。 男性のシンボルが綺麗さっぱり無くなってやがる」


 そして俺があれやこれやとこれからの事を頭の中で練り始めていた時丁度貴族の女が、隣の部屋から眠気まなこを擦りながら俺の部屋へと入ってくるではないか。


 俺はこれ幸いと、言葉では信じてもらえないと判断して服を脱ぎ下半身と膨らんだ上半身を見せる。


「は? どういう事? 女体化って……意味が分からないのだけれども。 百歩譲って女体化したとしてもどの程度で戻るの?」


 そしてこんな状態の俺を見て自分の事のように心配してくれるだろうと思っていたのだが、件の名前も覚えていないレベルの貴族の女はちょっとイライラした感じで俺にいつ治るのかと聞いてくるではないか。


「あ? そんな偉そうな態度を俺に取ってもいいのか? そもそも元の身体に治らないから焦っているんだろうがっ。 そんぐらいわブホォッ!?」


 しかしながら未だにどちらが上の存在か分かっていない程の馬鹿な女とは思っておらず、そのことを嗜めようとした瞬間に、俺は女性から左頬を思いっきりは叩かれるではないか。


 何が起こったのか理解できない俺は、叩かれた事を理解するのに数秒かかってしまう。


「テメェ、こんな事をして許されると思っているのかしら?」

「それはこっちのセリフよクズ野郎。 流石の私も女性になったアンタには何の価値もないわ」

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