第81話 ツケが周ってきた

 しかしながらただ女体化するだけならばまだ良いのかも知れないのだがご主人様未来の旦那様が与えてくれた液体は、身体は女体化しても外見はそのままなのである。


 要は顔は老けた五十代の男よりの顔(ホルモンバランスの関係か一応女性には見える)で、身体は女性という状態になってしまっている。


 当然若返るという事もないので肌は五十代のそれであり若い娘達のように肌のハリがあるなどという訳もない。


「は? 俺の息子までなくなってやがるっ!? お前っ、一体俺に何を飲ませたっ!?」

「何でも良いでしょう? それに私だって分からないのだから諦めてください。 しかしながら貴方の身体を見る限り性別が変わる液体のようですね」

「はぁ? そんな液体があるわけがないだろうっ!? そんな液体があれば男女比も女性に飲ませれば解決するじゃないかっ!!」


 そのダグラスの話を聞いて私は『確かに』と思ってしまうのだが、この液体はおそらく私のご主人様だからこそ用意できた液体であり、ご主人様以外、それこそ帝国ですら用意できないとみて良いだろう。


 それは、言い換えればこの液体の存在を知っているのは今はご主人様未来の旦那様と私しかいないのでダグラスがいくら見知らぬダークエルフの女性に無理やり女体化させられたと憲兵などにちくった所でまず頭のおかしい人扱いをされて終わりだろう。


 それに万が一ダグラスの言う事を信用して調べた所でご主人様未来の旦那様どころか私にすら辿り着く事はないだろう。


 だからこそご主人様未来の旦那様は隠密行動に長ける私を選んだのだ。


 それに、身体だけ性別が変わったとしても心の性別まで女性のままというのはそれはそれで問題が出そうなので容易に使用はできないだろう。


 そして、心の性別が変わらないのは今のダグラスを見れば一目瞭然である。


「そう言われても実際に貴方は女体化してしまっていますしね。 それに、もしかしたら男性にしか効かない効力を持つ液体かも知れないですよ?」

「はぁっ!? そんな答えで納得できるわけ無いだろうっ!! 早く俺を元に戻しやがれっ!!」

「何を言っているんですか? 貴方は。 貴方にこの液体を飲ませろというのが今回の命令なので、貴方の性別を女性にさせるというのが今回の目的であるのならば、男性に戻すことなんてできるわけがないでしょう?」

「そんな事が許されるわけがないだろうっ!?」

「あらそうですか。 でも貴方が許さないといくら言った所で今まで貴方が女性を食い物にして生きてきた事が消えてなくなる訳ではないのでそのツケが周ってきたと言う事でしょう。 ここから先は男性という武器と盾が無くなった状態で生きていかなければならないでしょうが、ガンバってくださいね」

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