第80話 どう見ても女性

「だったら何で俺にこんな事をするんだよっ!? 只で俺と子作りをしたいからじゃないのか?」

「一体どういう考察をすればそういう考えに辿り着くのか私には全くもって理解に苦しみますね。 股間がもはや脳みそを乗っ取ってしまっているんじゃないんですかね?」


 きっと、このダグラスという男は人間をやめて股間に魂を売ってしまった悲しきモンスターとなってしまったのだろう。

 

 これも男性を過保護にしすぎている現代の弊害の一つなのだろう。


 そう考えればこのダグラスもある意味で男性が極端に少なくなった事による帝国の作った法制度の被害者の一人なのかも知れない。


 だからと言って許す許さないはまた別問題なのでしっかりと今まで女性に対して行ってきた罪は償ってもらう。


「き、貴様っ!! 言わせておけばっ! 俺に暴力だけではなく暴言まで吐いてどうなるか分かっているのかっ!?」

「そうですね、どうなるのかこの私に教えてくださいよ。 このご主人様が与えてくれた液体を飲んでからも同じような啖呵が切れるのか見ものですね」

「はぁっ!? 誰がそんな明らかに怪しい飲み物を飲むんだよっ!? バカかお前ベケヘァウッ!?」

「飲みなさい」

「嫌だベアゥッ!!」

「飲みなさい」


 そして私は無理やり飲ませるのも可愛そうであるため自らの意思で『飲みたい』と思えるようになるまでひたすらダグラスの頬を叩く。


「も、もう叩くのはやめてください……っ! 痛いのはもう嫌だっ! 飲みますっ! その液体を飲みますからっ!!」


 そして情けない事にダグラスは五分も経たない内に自ら『飲みたい』というではないか。


 私としてはもう少しこのゴミむしを叩けると思っていたため少しだけ残念である。


「そう、仕方ないですね。 そこまでこの液体を飲みたいというのであれば飲ましてあげましょう。 私もそこまで鬼ではありませんからね」

「うぷっ!?」


 そして優しい私はガラスでできた小瓶の蓋を『ぽんっ』と小気味よい音と共に開けると、そのままダグラスの口に突っ込み、飲ませてあげる。


 その間は飲みやすいようにちゃんと頭を上に傾け、一滴たりとも残さずに飲めるようにしてあげるあたり、やはり私は優しいのだろう。


「ゲホッ!! ゲホッ!! い、一体何を俺に飲ませたんだよっ!?」

「さぁ?」

「さぁて、お前なぁ……あれ? 何だこの声? 俺の声ってこんなに甲高かったっけ?」


 そして薬の効果は早速現れたようで、目ののダグラスの身体は一瞬にして女性の身体へと変化していき、ものの数秒でどっからどう見ても女性化してしまったダグラスがそこにいた。

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