第79話 殴って黙らす



 私はご主人様未来の旦那様からの命を受け、あのクズ男であるダグラスへ渡された小瓶に入った液体を手に早速向かう。


 そのダグラスはジュリアンナの母親の家におり、今日も今日とて女性を複数人呼んでよろしくやっているようである。


 こんなのが日常的に繰り広げられているのだとすれば、確かに家出してしまうほどキツイかもしれないな、と思わず思ってしまう。


 他人の男性ならばまだ耐えられるかもしれないのだが、それが実の父親だからこそより一層キツイのだろう。


 しかもその中には母親も混じっているのだから尚更である。


 しかもこのダグラスというクズは、行為に混じる権利として金貨を要求しているようで、それはジュリアンナの実の母親も例外ではないらしく金貨を支払っていた。


 ただでさえこのダグラスという男のせいで貧しい生活をしているというのに、もし私がジュリアンナの立場であったのならば父親を殺してしまうかもしれないと思ってしまうほど、他人である私ですら怒りが込み上げてくるほどには異常であるのは間違いがない。


 しかしながら彼の女性を舐め腐った行動が取れるのも今のうちだけだろう。


 ご主人様未来の旦那様から聞いたこの液体の効果が本当であれば、間違いなくダグラスの人生は破滅する事だろう。


 そして私はその日、ダグラスが寝静まるまで待ってから再度ダグラスの前に現れる。


 今回のターゲトであるダグラスはこれから転落人生がとずれるとも知らずに幸せそうに寝ているではないか。


 そんなダグラスの顔目掛けて私は水魔術を使って冷や水をぶっかけてやる。


「ブワップッ!? あ? なんで濡れてるグボへァッ!?」


 そして寝ている所に水をぶっかけられて飛び起き、まだ状況が掴めていないダグラスの左頬目掛けて私の右フックが炸裂してベッドの上から吹き飛び、床をゴロゴロと転がっていくではないか。


 これだけでもかなりの爽快感を感じてしまうのだが、この程度ではこいつに課す制裁は生ぬるいのでしっかりとご主人様未来の旦那様から頂いた液体を飲ませなければならない。


「は? え? お、お前誰だよっ!? そ、そうか、俺のファンだな? 分かった、俺の精子が欲しいんだボゲハウアッ!?」

「なんで私があんたみたいなゴミむしの精子を欲しがると思うのですか? ありえないでしょう」


 そしてダグラスは今まで女性から暴力を振るわれた事が無かったのだろう。 


 信じられないと言った表情で目を白黒させて驚いているのが見てわかる。


 そしてダグラスは『自分の精子が欲しいのだろう』という笑えない冗談を言い始めたのでとりあえず殴って黙らす。

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