第74話 皆目見当もつかない

 取り敢えず、マシンガンのように喋り続けたジュリアンナを要約すると、昨日学園から家に返って見ると家にジュリアンナの父親がいたという。


 そのジュリアンナの父親は昔から金遣いが荒く、金がなくなる度に女を作って寄生し、寄生した女性にお金がなくなると捨てて次の女性へと移っていくような生活をしているよな人間らしい。


 しかもそれだけならばまだしも、ジュリアンナの父は対価として身体の関係も持っているらしく、腹違いの姉妹が何人もいるらしい。


 らしいというのは父親の事が嫌いすぎて調べようともしていないからなのだが、あの父親の事であるため母親を身籠もらさせてジュリアンナが産まれたように、他に姉妹がいない訳がないとのことである。


 そしてジュリアンナの話を聞く限りでは俺もジュリアンナには腹違いの姉妹は間違いなくいると思ってしまう。


 そしてこのジュリアンナの父親であるのだが、ジュリアンナの母親の気持ちを利用して、弁当屋と爵位以外の全てを奪い去っていくだけではなく、奪うものが無くなったと分かった瞬間にジュリアンナの母親をボロ雑巾のように捨てたのだというではないか。


 この世界でジュリアンナがなんで男性嫌いなのか、そして何で一定数男性嫌いの女性がいるのか、俺はジュリアンナの話を聞いて納得してしまう。


 確かに、これは男性嫌いになっても仕方がないだろう。


 そして、ジュリアンナの話が本当であればおそらく昨日の夜中から玄関前に蹲っていた事になるため、満足に寝ていなかったのだろう。


 ジュリアンナの胸の中にあるドロっとした感情を全て吐き出してスッキリしたのか、ジュリアンナはソファーに横になると、規則正しい呼吸音が聞こえ始めるではないか。


 しかしながら、さてこれからどうしたものかと俺はジュリアンナに毛布をかけてあげながら頭を悩ませる。


 きっと、こないだ雨の中一人傘も刺さずに彷徨っていたのもジュリアンナの父親が原因なのだろう。


 流石にジュリアンナの悩みを聞いてしまった以上『それはそれこれはこれで、俺には関係ないですから』と突っぱねるような事はできないし、したくもない。


 それこそジュリアンナが男嫌いになった元凶である父親と同類になってしまいそうで、更に男性である俺がジュリアンナを傷つけてしまうのだと思うと、余計にどうにかこの問題を解決してあげたいと思ってしまう。


 しかしながら良い案がすぐに思い浮かぶわけもなく、一体どうしたものかと頭を悩ませる。


「お悩みのようですね?」

「いやまぁ、どう解決すれば良いのか皆目見当もつかないからな。 こればっかりは」

 

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