第73話 クズすぎて

「御免なさい。 本来であれば女性である私が男性であるクロードの住んでいる場所に押しかける事は違法であると分かっているのだけれども──」

「なんだ、ジュリアンナか。 びっくりさせんなよ。 とりあえず、ここへ事前連絡も取らずに来たことは責めないから取り敢えず部屋の中で何でこんな事をしたのか話は聞くよ」

「で、ですが流石にそれは──」

「いいからいいから。 それに困っていそうなクラスメイトを放り出して衛兵に突き出すなんて、流石に俺にはできないからな」


 当初はかなりびっくりしてしまったのだが、その女性の正体がジュリアンナだという事が分かってホッとする。


 しかしながらこのまま外で話すというのもアレなのでジュリアンナを俺の家の中へと入れる。


 流石にこのまま衛兵に突き出せる人間はサイコパスじゃなきゃ流石にできないだろう。

 

 それにジュリアンナがどういう人物であるかというのはある程度分かっているつもりなので、今までジュリアンナが俺を襲うために演技をしていたのだとしたら、それは単に俺が人を見る目が無かったという事でもある。


 そんな事を思いながら俺はジュリアンナをリビングに案内してソファーへ座るように促す。


 ちょうどその時、ニーナが人数分のココアを温めたミルクで淹れてきてくれ、俺とジュリアンナへ渡してくる。 


 普段のニーナを見ていると忘れがちではあるのだが、流石選ばれしメイドであると再認識する。


「それで、一体どうしたんだ? 女性であるジュリアンナが男性でる俺の家の玄関で待ち伏せするような、一歩間違えたら一生塀の中になりかねないような事をするって事は、そうせざるを得ないくらいに切羽詰まった事があったのだろう?」

「…………お……が、かえ……きた」

「ん? すまん。 聞き取れなかったからもう一度頼む」


 そしてココアを飲んである程度落ち着いてきただろうと判断した俺はジュリアンナに聞いてみる。


 するとポツポツと話始めるのだが、聞こえなかった為ジュリアンナには申し訳ないのだがもう一度話てもうらように言う。


「お……お父さんが帰ってきた……っ。 もう、本当に最悪だわ。 案の定金の無心だし、朝から晩までイチャイチャと……。 あんな家にいたら気が狂いそうになってしまいそうで、気がついたらここへ来てしまっていたわ。 ……クロードには悪とは思っているけど」


 そしてジュリアンナは一度口に出したら止まらなくなてしまったのか堰を切ったように話し始め、そのジュリアンナが喋る父親がクズすぎて俺はどう声をかけて良いのか分からないほどである。

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