第71話 大女優

 そしてパメラ先生は真剣な表情で『クロードが強すぎるから生徒達の安全のためにパメラ先生自身がこれからクロードの相手をする』と言うではないか。


 当然今まで大根だったパメラ先生の言う事など信じる生徒などいる筈もなく罵詈雑言がそこかしこから飛んで来る。


 しかしながらパメラ先生はそんな罵詈雑言などまったく効いていないどころか、むしろその生徒たちの声を聞いて優越感に浸ってるような気がするのは気のせいだろうか?


「そうは言われてもな、君たちクロードとは手合わせしてないだろう? しかしながら私はクロードと実際に手合わせをしているからなっ! そしてクロードが強すぎると判断したのだからこれは正当な判断と言えようっ!!」

「何が正当な判断だ馬鹿野郎っ!!」

「だから職権乱用だぞっ!! ふざけんなっ!!」

「そう言うなら私たちにも一度クロード様と手合わせとさせてくれないとフェアじゃないですわっ!!」

「それが大人のやる事かっ!! 汚いぞっ!!」

「私とクロードきゅんとの愛の邪魔をしないでっ!!」

「大根の癖に騙せるとお思ったら大間違いだぞっ!!」

「責任者をだしなさいっ!! クレームを入れて差し上げますわっ!!」


 そして、そんな中でパメラ先生はなおも自分の正当性を説明するのだが、当然それで生徒たちが納得する訳もなく、先ほど以上に罵詈雑言が飛んでくるではないか。


 でもまぁ確かに、あの大根を見せられた後では納得はできないと俺ですら思ってしまうぐらいだから、女性であるクラスメイトたちからすればそりゃキレるよなぁ。


「君たちっ!! 先ほどから大女優と間違えられてもおかしくない程の演技力があると思っている私に向かって大根大根と連呼するのは流石に失礼だとは思わないのかっ!?」


 そしてパメラ先生は生徒たちの大根に反応して言い返すのだが、誰がどう見てもあれは大根だったと思えるくらいには完璧に大根だったので、なぜパメラ先生本人は自分の演技力に自信が持てるのか謎である。


 これはあれだろうか? パメラ先生の演技を動画で撮って本人に観せてあげれば現実を突きつけられて羞恥心に耐えられず死ぬレベルのような気がするのでそっとしといてあげよう。


 人間、気づかない方が良いことも中にはあるのだ。


「後、大人が汚くて何が悪いっ!! 悔しかったら君たちも早く大人になるんだなっ!!」


 そしてパメラ先生はさらに開き直ってしまうではないか。


 当然クラスメイトたちはそれを許すわけがなく、この後の武術の授業は授業にならず、パメラ先生VSクラスメイトたちで乱闘が始まるのであった。

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