第65話 プライドはズタボロ
そしてそんな事を思いながら俺はいそいそと着替えはじめるジュリアンナを盗み見ながら脳内メモリーフォルダへと保存していく。
「クロード様、流石に盗み見しすぎではないでしょうか?」
「んなっ!? …………いやいや、俺が誰を盗み見していただって? それに俺がそんな事をするわけないだろう……?」
「なるほど、普段は大人びた言動や行動で忘れてしまいますがクロード様も年頃でございます。 分かりました。 そういう事にしておいてあげましょう」
「く……っ」
何故だろうか。 ニーナに言われるとすごくイラってくるのは?
「でも安心してください、クロード様」
そしてニーナは苦虫を噛み潰したような心境の俺に向かって、まるで聖母のような微笑みを湛えながら話しかけてくるではいか。
しかしながら俺は知っている。
この聖母の皮一枚剥がすと涎を垂らした変態がいる事を。
「何にだよ? むしろ俺は今、俺という意識を持ってから今までで一番ショックを受けているんだけど?」
そう、今の俺は『ニーナというド変態にジュリアンナの着替えを盗み見している事をバレてしまった』という事実に、俺の男性としての矜持を傷をつけられて打ちひしがれている所なので正直言って何も聞かずにそっとしてほしい。
「もし、クロード様がその性欲を持て余しているのでしたら私がいつでも受け止めてあげますから。 その時はいつでもクロード様の性欲の吐口となりますので、我慢せずに私に申していただければと思います」
そしてニーナはまるで『大丈夫。 なんだかんだ言っても思春期だもんね。 異性の身体に興味が出てくる年頃ですもんね』とでも言うような生暖かい目で俺を見つめながらそんな事をいうではないか。
もう俺のプライドはズタボロである。
「…………遠慮しておく」
そして俺は喉を搾り上げた声音でなんとか一言返すのでやっとであった。
◆
「おぉ、君が噂のクロードかっ!? 私は武術の講師であるパメラ・アンダーソンという者だっ。 うむ、カレンドール先生が自慢するだけのことはあるなっ! 確かにイケメンだっ! どうだ? クロードっ! 放課後先生と大人の階段を一緒に登らないかっ!?」
あの後俺はニーナによって精神的ダメージを喰らい、致命傷になりながらもなんとか修練場まで遅刻せずにやってくる事ができた。
そして授業に間に合ったことでほっと一息を吐くと、なんだかとてもうるさい女教師が嬉しそうにこちらに手を振ってナチュラルにセクハラをしてくるではないか。
元気はつらつに喋ればセクハラの言動も許されると本気で思ってそうな所がもうヤバい匂いしかしないのだが。
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