第55話 内心ホッとする
てかカレンドール先生は、怒った時は普段の荒い口調から敬語になるようなのだが、俺の経験上怒った時こそ冷静にしようとして敬語になる人物の方が厄介であり怖いので絶対に怒らせてはいけない人物である──というのが前世の経験で得た知識の一つである。
勿論感情的で突発的に怒る人は感情を抑えられず暴力を振るって来る可能性があるので怖い事には変わりないのだが、基本的にはそれで相手の気持ちも晴れており怒りは長続きしないパターンが多い。
しかしながら冷静にキレる人は一度怒らせたら一生根に持つタイプが多いイメージがある。
更にこのタイプの質が悪いのは、感情的なタイプの直線的な報復とは違いねっとりゆっくり、そして確実かつ計画的に相手を仕留める事が多いということだろう。
それは長期に渡って相手に嫌がらせをするというパターンや長期に渡って罠を作り、ここぞという所で罠に嵌めるというパターンもあるのだが、そのどれもが法律上罰する事ができない可能性が高いという事である。
そもそもこの『冷静にキレるパターン』の人が怒る時は、既に自分が絶対的に正しい事を分かった上で、それ故の正義を後ろ盾に相手は正論で攻められるので言い訳をしようものなら待ってましたとばかりに反論されるだろう。
それとは逆に感情的な相手は突発的な行動が多いため、会話は不可能に近いのだが基本的には警察を呼べば良いパターンが多い。
勿論両方の場合でも行き過ぎて人を殺す場合もあるのだが、どちらを怒らせたくないと聞かれれば俺は『冷静にキレる人』の方を選ぶだろう。
「なるほど、では今回はニーナの事を信じてジュリアンナさんとクロードとの間には何も無かったという事にしておこう。(ジュリアンナめっ!! 若さを武器にして雨の中傘も差さずに『私は可哀そうな女の子アピール』ではないだろうなっ!? ジュリアンナの男嫌いを信用し過ぎた私の采配ミスでもある為今回は見逃してやるが、次は無いと思えっ!! そもそも、雨水も弾く肌で若さを演出していたつもりでいるのならばまだまだ考えは甘いと言わざるを得ない。 私だって頑張れば雨水如き弾き飛ばすほどの肌のハリは保っているはずだっ!! 他の女性たちと違ってアンチエイジングには力を入れてきたつもりだからなっ!! そこら辺の私と同年代と比べてもらっては困るっ!)」
そして取り敢えず今回は軽く叱られる程度で終わりそうで俺は内心ホッとする。
このまま
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