第44話 リリアナにしかできない事だ

 とりあえずはそれまでにはリリアナが俺に向けている感情を崇拝から恩人レベルまでに下げなければと心の中で思う。


 しかしながら今はその事はどうでも良くて、リリアナに頼みたい事があったから呼んだのだから思考を切り替える。


「リリアナ、お前に頼みたい事がある」

「はっ。 何なりとお申し付けください。 この身体、感情、思考、その他全てはご主人様のものでございます。 それこそ夜伽をせよと言われればいたしますし、私の初めてが欲しいと言えば捧げますし、私と子作りしたいと言えば今からでもいたせる準備はできておりますっ!」

「あ、そういうのは今はいいから」

「…………そ、そうですか」


 何だろう? 少しだけリリアナが残念そな表情をしたような気がしたのだが気のせいだろうか?


「あぁ。 そういうのではなくて、リリアナにしかできない事だからわざわざお前を呼んだんだ」

「私にしかできない事、ですか?」

「あぁ、そうだ。 リリアナにしかできない事だ」


 流石にここまで言えばリリアナもある程度俺がこれからリリアナに命令する内容は分かるだろう。


「それは、まさか……母と妹も加えた親子丼をしたいということでしょうか? 母は私をダークエルフの男性の精子提供から産んでおり、そのため結婚も、婚約やお付き合いをしている男性も私から見て父と呼べる男性もいませんし、妹も当然彼氏や婚約者などおりません。 それにおそらくクロード様であれば母も妹も嫌な顔せず承諾してくれるでしょう。 むしろ食い気味に承諾してくれると思われますっ!!」

「いや、なんでそうなるんだよ。 全く違うわっ!」

「あうっ」


 しかしながらリリアナの口から出た言葉は俺の想像の斜め上を突き抜けた内容であった為俺は思わずリリアナの頭を漫才師がツッコミを入れるかのごとく軽く叩いてしまった。


 うん、テレビでよくみる漫才師のようにいい音が出ないな。 やはりただ叩くだけではなく、いい音を出せすスキルが必要なのだろう。


「いや、そうではなくてだな……リリアナにはとある人物の身辺調査を行なって欲しんだ」

「…………なるほど。 そういうことでしたら我が種族、ダークエルフが最も得意とする分野ですね」


 いや、だからそう言っているではないか、と突っ込みたい衝動を俺は必死に堪える。


 ここでツッコミを入れたらせっかく進み始めた話も進まなくなりかねない。


「それで、この者なのだが、できそうか?」

「余裕ですね。 大船に乗ったつもりでいてもらって大丈夫でございます」


 そして俺は少しだけ不安になりながらもリリアナにとある人物の身辺調査を命令するのであった。



 

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