第41話 ストレスか何かが原因
「何言ってんだ。 こんな状態のお前をこのまま見なかった事なんなできねぇだろうが。 黙って俺に拉致られろ。 あと危ないから暴れるんじゃない」
「うぅ……っ」
そしてクロードに担がれた私は彼の胸の中でジタバタと暴れていたのだが、女性ではまずあり得ないほどの力で抱き抱えられてはなす術なしと私は判断して暴れるのをやめる。
それと共に感じるクロードの体温、僅かに聞こえる心音、そして熱い胸板と共に香るクロードの匂い。 それら全てががなぜか私に安心感を与えてくれるではないか。
「ようやっと落ち着いたか」
「あ……っ」
「ん? どうした?」
「いえ…………なんでもないわ。 気にしないで」
そしてクロードは私が落ち着くのを待っていたのか、私が落ち着くや否や馬車の座席に優しく座らされる。
その瞬間私は『もっとクロードに抱かれていたい』『もっとクロードを感じていたい』と思わず思ってしまい、クロードの腕が私から離れた時思わず声に出てしまった。
自分でもなんでそう思ったのか分からないのだが、だからこそ口から出てしまった私の名残惜しそうな声がものすごく恥ずかしく感じてしまい、それを隠すためにクロードにそっけない態度をとってしまう。
しかしながら、噂では聞いていたし、知識でも知っていたつもりであったのだが、まさか男性の腕力があそこまで強いものだとは思ってもみなかった。
私の予想では女性よりも強いと言っても同じ人間である以上そんなに差はないだろうと思っていたのだが、それを軽く超えてくるクロードの腕力を思いだすだけで私の心臓の鼓動は激しくなってしまう。
それだけではない。
クロードから香る匂いや、厚い胸板、女性よりも低い声等々、とにかくそれらクロードの事を考えただけで私の心臓は激しく脈打つので、やはりこれは何かの病気、それこそ過去のトラウマからくるストレスか何かが原因である可能性が高いと見て良いだろう。
「…………だけど、なぜかクロードの事を考える事がやめられないし、嫌な気分でもない。 不思議な気分……」
「何ぶつくさ言っているんだ? ほら、頭を拭いてやるから大人しくしてろ。 馬車の振動で舌を噛むから喋るんじゃないぞ?」
「なっ、ちょっ! それくらい自分でできるわよっ!!」
「そ、そうか。 まぁそれくらいの元気があればとりあえずは大丈夫そうだな」
「うるさいわね……」
そしてクロードがどこからか取り出したタオルで私の頭を拭こうとするので、私はそのタオルをふんだくって自分で拭くのであった。
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