第38話 俺は何も気づかなかった
そもそも出会った当初からジュリアンナは俺に対してキツい対応をしていたのでもしかしたら『生理的に無理』という奴なのかもしれない。
そう思うとジュリアンナにとってこの案内係というのは、やはりキツいものかもしれない。
そんな事を思っているとジュリアンナの体調が何だか悪そうではないか。
その姿を見て俺は思わず前世での病弱であった妹の事を思い出して気がついたら保健室まで運んでいたのである。
しかしながら俺がカットしたフルーツは食べれていたところをみるに食欲があるようなので少し休めば体調も良くなるだろうし、俺が差し出したフォークに刺したフルーツを食べてくれたということはそこまで嫌われていないのかもしれない。
それこそ俺ではなくて男性に対してトラウマがある為、男性である俺が苦手という可能がある。
そこまで考えたところで『流石に前世ならばいざ知らずこの世界では俺の思い違いという方が高いか』と考察する事をやめる。
結局それは『俺が嫌われているわけではない』と思いたいだけである。
ジュリアンナ本人が言うつもりがないのであれば俺があれやこれやと詮索するものでもないだろう。
「どうしましたか? クロード様」
そんな俺を見てニーナが心配そうに声をかけてくる。
「なんでもない。 少しだけ考え事をしていただけだ。 心配させてしまったようですまないな」
「いえ、私とクロード様の仲ですので」
いや、どういう仲だと言うのか。
ただの俺の側仕えメイド兼学友兼俺の使用済み洗濯前のパンツ中毒者ではないのか?
…………『ただの』ではないな。 うん。 俺の使用済み洗濯前パンツ中毒者の時点でやばい奴だったわ。
もしこの世界にジップ○ックなるものがあれば俺の使用済み洗濯前パンツの収集癖まで追加されていそうなので、ジップ○ックがこの世界になくて良かったと………そういえば俺のパンツが定期的に無くなっている気がするのだが気のせいだよな? 突風か何かで飛んでいって無くなっただけだよな?
俺は何も気づかなかった。
そう思う事にして午後の授業を受けるのであった。
◆
「あら、おかえりなさいジュリアンナっ!! 早かったわね」
「うん。 体調がすぐれないから養護教諭の先生に診てもらって早退してきたわ」
あのあと私は早退をして家に帰ることにしたのだが、母親がいつにも増して上機嫌になっていた。
「何かあったの? お母さん。 いつもよりも機嫌が良さそうじゃない」
「あら? 分かっちゃうかしら。 実はね、さっきあなたのお父さんから連絡が来て来週帰ってきてくれるそうなのよっ!!」
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