第34話 中等部までのお子様とは違う
そんな私の不安などまったく気付けない鈍感なクロードは何を思ったのかステーキを一切れフォークに刺すと私の口元まで『あーん』と言いながら突き出してくるではないか。
その瞬間周囲はしんと静まり返り、私はなぜか顔でお湯が沸かせそうだと思うほど一気に熱くなってくる。
「ばっ、何をやっているのよっ!? そんなはしたない行為を他の皆様が診ている前でするなんて信じられむぐぅっ!?」
「はいはい、文句は昼食の後にいくらでも聞いてやるから。 とりあえず今は料理が冷める前に食べようぜ」
「なっ、あ、あんたがそんな、その……『あーん』だなんて事をいきなりするからでしょうっ!! 何で私が悪いような感じで言うのかしらっ!?」
「まったく、キスをするというわけでもないし、子供でもないのにで『あーん』程度で恥ずかしがるなんて……ジュリアンナはまだまだ子供だな」
「そ、そういう事を言っているわけではないわっ!! いきなりやらないでと言っているだけで別に間接キスまでならば何も感じないわよっ! 私も今年で高等部だから中等部までのお子様とは違うわっ!!」
「いや、流石に間接キスまでしか耐性がないのも子供だと思うんだが……?」
「何か言ったかしら?」
「いや、何も」
そしてクロードは自分から私にちょっかいをかけてきたにも関わらず、まるで私がお子様すぎると言ってくるではないか。
いくら何でも今年から高等部の生徒である私に向かってなんと失礼なことか。
「あの、クロード様。 私とも一口交換しましょう。 はい、あーん」
「まったく、分かったからせめて食事中は俺の腕に腕を絡めないでくれ。 シンプルに食事しづらいだろ、ニーナ」
しかもこの男は私に『あーん』をしたくせに、その直後に私以外の女性から『あーん』をされているではないか。
節操はないのかと問い詰めたいのだけれども、私とクロードはまだそういう関係ではない私から『他の、付き合ってもいない女性にそういう事をするのはやめて欲しい』というのは違う気がするし『付き合ってもいないのに束縛をしないで欲しい』とクロードから言われかねないと思ってしまうとどうしても言葉が出なくなる。
って何で私は、クロードなんかどうでも良いはずでもし告白をされたところでこっちからお断りするのではないのか?
それなのに気がついたらクロードが他の女性と『あーん』をするのを見て『他の関係ない女性にはそういう事をしないでほしい』なんて思ってしまうのか。
これはやはり私は何かしらの病気に罹っており、まともな判断をできなくなってしまっているのではないのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます