第31話 こいつのどこがそんなに良いのか
『今からクロード様が食堂へ行くってっ!!』『よっしっ! 先回りして食堂の席を仲間に取ってもらってて良かったっ!!』『急げ急げっ!! 殴り飛ばしてでも席を確保するのよっ!!』
そして俺はジュリアンナに連れられて食堂へと向かうべく教室を出るのだが、その瞬間教室内は先ほどの静けさとは打って変わって一気に騒がしくなる。
「全く、こいつのどこがそんなに良いのか私には全く分からないわね」
「でもカレンドール先生がジュリアンナを俺の案内係にした理由が分かったような気がするな。 確かにあれではとてもではないが俺の案内係は務まらなかっただろうと思えてくる」
「それはそうね。 ま、これから色んな場面で大変そうだけど頑張ればいいわ。 でもあの騒々しさから女を食い放題だと思うのではなくてしっかりと案内役だった場合を想定できるあたりあの男とは違うのかも……」
そしてジュリアンナはそんな俺を見て労ってくれるではないか。
もしかしたらこの短時間で少しだけジュリアンナとの距離が縮まったような気がするのだが気のせいだろうか?
あと、後半ジュリアンナは俺に聞こえていない(と思っている)声で呟くのだが、ここはあえて気づかないふりをして流してあげる事にする。
ここでわざわざ拾ってジュリアンナに『先ほど言ったあの男って誰なの?』などと聞くやつはデリカシーがなさすぎるか馬鹿なのだろう。
しかしながらこの世界の男性はそんなデリカシーなど持ちわせておらず、基本的に女性を道具のように扱う者が多いらしい。
そもそも前世では女性に優しくしたり自らをアピールしたり、ファッションセンスを褒めたりして、女性が自分に惚れてくれるように努力をする必要が少なからずあったのだが、この世界の男性は何もしなくても女性の方からやってくるのだから当然男性は女性に対して何もアピールしたり気遣ったりという事をする必要がない為そういった勘違いした男性ばかりなのだろう。
何だか想像しただけで腹が立ってるので、俺はこの話題の事を想像するのはやめてジュリアンナについていく。
「ここが食堂で、食堂で提供される料理を食べたい場合は入ってすぐ左側にあるトレイを持って列に並び、そのまま進んでいくと棚に置かれた料理があるのでその中から好きな物を手に取って、空いてる席に座って食べていい事になっているわ。 そしてこのシステムのために人気のおかずが出る場合はかなり早く食堂に行かないと売り切れになるから気を付けなさい」
そして俺はジュリアンナの説明を聞きながら食堂を利用するのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます