第28話 夜道で刺されかねない

 だが、流石に指を刺されながら『クソ』呼ばわりされるのは流石の俺も傷つくのだが?


 そんな俺の感情など知るはずもなく、ジュリアンナにカレンドールが何故ジュリアンナが俺の案内人に抜擢されたのかを話し始める。


「それはジュリアンナがクロードの事を恋愛対象として見ていないからであり、その事をこのクラスメイト達だけではなく、この魔術学園全校生徒がその事を把握しているからな。 だからこそお前が適任なんだ。 考えてもみろ。 ここでクロードとあわよくば付き合おうなんて考えている奴が案内係に任命されたらそいつ夜道で刺されかねないぞ」

「ぐぬ……た、確かにそれはかなりの確率で起きそうですけど、だからと言って嫌がる生徒を無理やりというのもどうかとおもうのですけれどもっ!?」

「そう思えるお前だからこそ、いや、お前にしかできないんだ。 期間は一週間で良いからクロードが何か困っていたり移動教室などは軽く手伝ってあげたり、学園の売店などの施設の利用方法を教えてやってくれないか? 内申点にはかなり色をつけてやるぞ」

「……わかりました。 そこまでいうのであれば致し方ありませんね」

「おぉ、さすがジュリアンナだっ! お前ならば分かってくれると思っていたぞっ!!」

「ただし、先ほどの内申点の件……頼みましたよ?」


 そしてジュリアンナとカレンドール先生との交渉は終わり、これから一週間俺の案内係という名の世話係としてジュリアンナがこの魔術学園でわからないことを教えてくれるようである。


 正直、まだこの魔術学園について何も分かっていない状態であるためジュリアンナには悪いのだが正直かなり助かる。


「何で私の方を見るのかしら?」

「いや、これから一週間俺の世話係として学園生活を過ごすんだなと思っただけで他意はない」

「当たり前よ。 後、他の女性は大丈夫だからといって私にセクハラやそれに近い行為をしてきた瞬間に私はあなたの案内係から降ろさせてもらうから言動や行動には気をつけることね」


 どうにもジュリアンナは男性の事をすぐにセクハラをする生き物かなんかだと思っていそうで少しだけ怖いんだが?


 俺にそのつもりがなくてもジュリアンナの裁量一つで痴漢野郎に仕立て上げられかねないのでセクハラはもちろん、それに近い行為も極力しないようにしなければならないだろう。


 だが、この世界でわざわざ女性がいるエリアに頻繁にくる男性は基本的にそういう痴漢行為を犯罪であると思ってすらいない男性ばかりだと風の噂で聞いたことがあるのでジュリアンナの異様なまでの警戒心の高さも致し方ないのかもしれない。

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