第27話 心が痛む

 そしてニーナは自分の自己紹介を終えて席に着く。


 え? ちょっと待って? 色々初耳なんですけどっ!? 


 そもそもここの学園長であるアーリャさんと遠い親戚である時点でびっくりなのだが、エルフの血を継いでいるからこそ三十歳でも比較的若く見える理由や、この魔術学園へ入学できたのであろう。


 何だろうか、地味に納得いかないと思ってしまうのは俺だけだろうか?


 そもそもエルフの血を受け継いでいるといっても五世代も薄まってしまっているのだから、これはもう人族と言っても過言ではないだろう。


 それで『一応エルフの血が混じっているから三十歳でも高等部へと入学できます』と言われても『はいそうですか』とはならないのでは? と思ってしまうのは俺だけなのだろうか?


 しかしながらクラスメイト達を見てもニーナが高等部へと入学した事に違和感を感じているような者はおらず、俺だけがおかしいのか? と思いそうになる。


 これはおそらく前世でも異性が転校してくると分かると盛り上がるのに対して同性が転校してくると分かった瞬間に興味が薄れてしまうあの現象と同じなのだろう。


 何ならクラスメイト達からは『なんだ、年増か。 私たちの敵にはなりそうにないからどうでも良いわね』『そう言えば風の噂で聞いたのだけれども学園長のアーリャ様もクロード様を狙っているらしいわね。』『ですが流石に二百歳かつ出産経験があるともなればいくらエルフと言えども私たち正真正銘ピッチピチ現役女学生を相手には手も足も出ないと思うのだけれども』『これはもう私たちが引導を渡してあげるべきね』いうヒソヒソ声が聞こえてくる。


 何だろう、女性って怖いと普通に感じてしまう。


「後、クロードはこの学園に高等部から初めて通うことになったのだから小等部から通っている他の者に案内役をしてもらおうと思うのだが、その役にはジュリアンナにやってもらおうかと思っているのだが大丈そうか?」

「ちょ、ちょっと待ってくださいカレンドール先生っ!! そんないきなり言われても困りますっ!! なんで私がわざわざ男性であるこのクソの世話をやらなければならないのかしらっ!?」


 そしてカレンドール先生はそのままの流れで俺の世話役を俺の隣の席のジュリアンナに指名するのだが、そん瞬間ジュリアンナはカレンドール先生へ反論する。


 確かに少しばかり嫌われているとは思っていたのだが、まさかここまで嫌われているとは思っておらず、必死に反論するジュリアンナを見て少しだけ心が痛む。

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