第23話 何か言いましたか?
「いや、だから……」
「そうですね、子供は最低でも三人は欲しいです。 家は白い大きな一軒家に大型犬を一匹ペットとしてお迎えして……」
そしてどうやらニーナは自分の世界に行ってしまったようなのでそのまま無視してダイニングへ向かう。
その間ニーナは妄想を垂れ流しながら俺について来ているようなので一応朝食を抜いてしまうような事もないだろう。
とりあえず、ニーナのおかげでこの世界の女性が男性に対する憧れや承認欲求、性欲や恋愛感情は俺の想像していたものよりもさらに上である事がわかっただけでもかなりの収穫であったと言えよう。
もしニーナによって気付かされる事がなかった場合俺は昨日の大人しいクラスメイトや学園の学生たちの反応に騙されてしまうところであった。
その点だけでもニーナはかなり役にたったと言えよう。
俺の中でニーナの評価がプラスかマイナスかと言われればマイナスなのだけれども、ニーナ本人は今幸せそうに夢を語っているくらいに上機嫌なのであえて教える必要もないだろう。
知らぬが仏って言葉もあるくらいだしな。
そんなこんなで朝食を食べ終えて、登校準備し終えて学園へ向かおうとすると何故かいつものメイド服ではなくて学園の制服を着たニーナの姿がいるではないか。
「ニーナって俺よりも年上だったよね? 成人もしていたよね?」
「えぇ、そうですが、それが何か?」
それが何かって…………成人した女性が実際に存在する学生服のコスプレ……? 前世の記憶のせいで未成年は観てはいけないカテゴリーにしか見えないんですけどっ!?
「今クロード様、私の姿を下から上まで見た上で物凄く失礼な事を考えていたような気がするのですが気のせいでしょうか?」
「き、気のせいだよっ! うん、きっと気のせいさっ! ニーナの姿を見てもの凄く似合ってたからさ」
「まぁっ! まぁまぁまぁまぁまぁっ!! これはゴールインまっしぐらではないのでしょうかっ!? もう、クロード様ったらっ! 朝からお世辞と見せかけた本音を言うなんて……私はなんて幸せなのでしょうかっ!? 私はこんなに幸せで、大丈夫なのか心配になってくるほどですよっ!!」
「うん、それは良かった。 うん。 あと、全力でお世辞だけどね。 じゃぁ学園へ向かおうか」
「はいっ!! あ、昨日は周りの生徒への牽制も含めてメイド服を来て側使えとして登校したのですけど、今日からは側使え兼同級生としてクロード様と学園生活を共にする事になるので、クロード様も私を同級の学友として、何でしたら彼女のように接してもらっても大丈夫ですよ?」
「え? マジでその服で学園くるの? 冗談とかではなくて? っていうか、同級生としてって……ニーナは年齢的には普通に卒業している年齢だし、学園の規則では男女共に十五歳から、今は殆どいないけど十八歳までじゃないと入学できなかったと思うんだけど? もう一度聞くけど、ニーナって成人してたよね?」
「……何か言いましたか?」
「いや、何も。 ただ都合の悪いことは聞こえなくなる耳を持ってんだなって」
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