第21話 意地悪


 

 ◆


 昨日は俺の使用済み洗濯前のパンツに興奮したニーナがいつ襲ってくるのかと一睡も眠れなかった。


 性欲を押さえつける物が無くなた初日こそ自分の性欲をコントロールできずに欲望のまま動き出すのでは? と思っていたのだが、そんな事も無くて一安心である。


 どうやら初日でもタガが外れる程発散行為にのめり込む事無く一夜を明かしたのだから大したものだ。


 というのも、俺が客観的に感じたこの世界の女性たちは偏見かもしれないのだが異性に会った事すらない女性の方が多く、実際に出会った時に彼女たちが感じる様々な『欲望』をコントロールする事に慣れておらず行動に移してしまう者が多い印象がある。


 にも関わらずニーナは自分の感情をしっかりとコントロールしたのだから流石お母様が選んだ俺の側仕えだと感心すると共に、ほんの少しだけ誇らしくもある。


「あ、おはようございます。 クロード様」

「おはよう、ニーナ」


 そして俺は朝食を食べる為にダイニングへ向かうのだが、その途中目にクマを作り、しかしながら肌の艶がとても良い、何かをやり切ったような表情をしているニーナと出会うのだが、何をやり切ったのか聞くのは野暮というものだろう。


 なので俺は何も気づかないフリして挨拶をする。 できた主である。


 うん、今日もいい天気だ。


「クロード様は意地悪です……」

「……ん? 意地悪? どういう事だ?」


 そんな事を思っているとニーナが俺の事を見てモジモジしながら『意地悪』と言ってくるではないか。


 はっきり言ってニーナに意地悪した覚えは一切ないので余計にニーナから『意地悪』と言われる意味が分からない。


「どう言うことって……またそうやって私を揶揄うんですから。 やっぱりクロード様は意地悪ですね。 ですがそれも一つのプレイだと思えばこれはこれで良いものでした。 私ってどちらかといえばSだと思っていたのですが意外とMの素質があるみたいですね」


 そしてニーナはそういうと顔をポッと赤らめるではないか。


 しかしながら、ニーナが喋れば喋るほど俺は余計に意味が分からなくなってくる。


 そもそも俺は昨夜ニーナに対してSMプレイやそれに近い行為をした覚えも無ければ会ってすら無いのである。


 であるにもかかわらず朝起きればニーナから『意地悪』と言われてしまうのだから訳が分からない。


「いや、ごめん。 どういう事かもう少し詳しく教えてくれ」


 そうニーナに言うと『またそうやって私を辱めるおつもりですね。 ですが、それがまた癖になりそうです』と言ってからニーナはなぜ俺に対して『意地悪』と言ったのかを話し始める。



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