第20話 とんでもない過ちを犯してしまったのかもしれない

「それは良かった」

「いえ、これは考え方を変えるとクロード様公認でクロード様の使用済み洗濯前の下着を使う事ができるという事だと気付けたので、そう思えば一気に楽になってきました。 クロード様公認という事でこれからはバレる心配を考慮して証拠を残さないような立ち振る舞いをする必要は無くなったという事ですので朝っぱらだろうが真昼間だろうが夜中だろうがやりたい時いつでも堂々とクロード様の使用済み洗濯前の下着を使って発散できるという事なので……」

「……え? いや、その……」

「そう思ったら逆にクロード様にバレて良かったなと思える程ですね。 それに、そういうプレイだと思えば尚の事日々の発散が盛り上がれると言いますか……もうっ、自分の側仕えに何を言わせるんですかっ! あ、これもプレイの一環と思えば想像し甲斐がありますねっ!!」


 そしてニーナは鼻息荒く精神的ダメージが回復した理由を教えてくれるのだが、俺は変態に餌をあげてしまったようにしか思えないのは気のせいだろうか。


「ちが……」

「しかも正気に戻ってみればクロード様が私を抱きしめて下さっているではありませんかっ! 気付いた時は幸せ過ぎてどうなる事かと思いましたよ。 あぁ、これが創作物とかでたまに出てくる『好きな異性の匂いに包まれる』なんだと、本当に好きな人の匂いに包まれるんだなと。 そしてその匂いを堪能すべくクロード様の胸板に頭を押し付けて嗅いだ芳醇な香りときたら……飛ぶかと思いましたよ」


 俺はとんでもない過ちを犯してしまったのかもしれない。


 今までのニーナは『俺やお母様にバレないように発散しなければ』という鎖がある状態で夜な夜な人知れず発散していたのだ。


 それが『どうせバレているのだし今更隠れてコソコソする必要も無いし、クロード様も今まで通りでいいと許可も貰ったから』と、ニーナを締め上げていた羞恥心や恐怖心といった鎖が消え去ってしまったのである。


 ニーナという肉食獣には常に満腹の状態になっているようにするために常に使用済みの下着類を提供しなければと思うのと同時に、その環境下では一日しか使用していない下着に慣れてしまい『三日間履き続けた下着を恵んでくださいっ!』だとか『とりあえず三キロ走った後の下着を恵んでくださいっ!』とより強い刺激を求めだしそうで怖いのだが……。


 とりあえずは俺の寝室の扉や窓に鍵と魔術系威力軽減と打系威力軽減の付与を早急に、何なら今すぐにでもしておかなければと思うのであった。

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