第19話 死体蹴り
その為最初ニーナは安心しきった表情だったのがみるみるうちに真っ赤に染まり、何か言い訳を言おうとするも何もいい案が思い浮かばないのか金魚のように口をパクパクしながら涙目になるではないか。
その涙目になり羞恥心で顔を真っ赤にしながら慌てふためくニーナを見て『あ、これ癖になりそうかも』と思ってしまう。
とりあえず普段凛としたニーナが涙目で顔を真っ赤にしている姿を見た俺は、俺の使用済み洗濯前のパンツで勝手に発散する罰はこれで許してあげようと思うのであった。
◆
「落ち着いたか?」
「あっ…………は、はい。 すみません、取り乱してしまいました」
あれからニーナは『もうクロード様にどのような顔で会えば良いのか分からない』『恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそう』『スフィア様にこの事が知られてしまったら……ま、まだ死にたくないよぅっ!』などと、羞恥心と恐怖心とが交互に襲てきたらしく、落ち着くのに小一時間はかかった。
その間俺はニーナを軽く抱きしめて『大丈夫だから。 思春期の女の子の前に使用済みの男性のパンツがあれば誰だってそうするって今ならば理解できているから』『初めて知った時は流石に引いてしまったけどやっているのがニーナだけじゃないと知ってからはそこまで引いてないから』『お母様には内緒にしておいてあげるから。 今までだってその事(俺のパンツで発散する事)でお母様から何か言われたりとかはしていないだろう?』などと慰めていたのだが、何故かニーナは俺が慰める度に『ぐふっ!!』『がはっ!!』『おふぅっ!!』とダメージを喰らっているようである。
しかしながら確かに逆の立場で考えてみると、学生時代の俺が好意を寄せている女性の使用済み洗濯前の下着をちょろまかして夜な々発散していたことが本人にバレたらと考えてみると、確かに死ねるなこれ、っと思う。
そしてそこへ好意を寄せている女性から触って欲しくない部分をつつかれながら慰められると、確かにダメージは喰らいそうだな、と思ってしまう。
つまり俺がしていたのは慰めではなく死体蹴りであり。慰めるだけであるのならば『大丈夫』という言葉一言で十分だったのだろう。
しかしながらそれでも好意を寄せいている異性が必死になって自分の為に声をかけながら軽く抱きしめてくれるというのは思春期の女性には刺激が強すぎたのか、後半はニーナも俺を軽く抱き返して来て匂いまで嗅ぎ始めたので流石にもう大丈夫だろうと慰めるのを止め、形だけ落ち着いたかどうか確認する。
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