第14話 勘違いしないでほしいものね
「あ、はい。 そうですね、ありがとうございます。 確かに殆どの男性は働きもせずぐーたらしてますもんね」
そしてこういう女性は何を言っても無意味なので適当に話をあわせ、そして『敵ではないですよ』とアピールしつつスルーするのが最良の選択であるという事を俺は前世の経験から嫌という程知っている。
さらに最後にイケメンスマイルで締めくくり、もう君との会話は終わりとばかりに鞄の中を机に入れて行く。
こういう時笑顔で誤魔化せるイケメンに産まれて良かったと思う。
「なっ、あっ……あなたは腹が立たないのかしら? 貴方と同じ男性をバカにされているのだけれども」
そしてそんな俺の反応が珍しいのか隣の席の女性はせっかく俺が話を終わらしたにも関わらず何で反抗してこないのかと聞いて来るではないか。
この言動からしてもやはりこの女性は俺が激昂したところをバカにする気満々だったのだろう。
その事からもやはり受け流して正解であったと思える程に面倒くさい女性である。
そして『だからこそ適当にあしらっているんだよ』と言いたいのをぐっと堪えて俺は顔にイケメンスマイルを貼り付けて返答する。
こういう場合は無視した場合は何だかんだで難癖付けてきて『やっぱりこれだから男性は~』とか『どうせ私達女性が怖いからそれっぽい答えを提示したけど、そんな事はまったく思ってないから聞き返されると何も言えなくなるんでしょう?』だとか言われてしまってはそれはそれで面倒くさいし他のクラスの女性にまで勘違いされてはたまったものではない為、面倒くさいのだがここはしっかりと返事をする事にする。
「そうだね。 確かに彼らは俺と同じ男性なのだろうけど、だからと言って俺と君が言う男性たちと価値観が同じという訳ではないと思うんだけど? それは君もそうなんじゃないのか? 君はクラスの他の女子とは価値観が違うように見えるのだが?」
「……確かに、それもそうね。 私はクラスメイト達のように頭がお花畑で無条件に男性に媚びるような人たちとは違うわ。 けれども、私が男性を良く思っていないのには変わらいから」
「うん、それで良いと思う。 俺は君が男性を良く思わない理由もなんとなく分かるしね」
「…………あなた、変わっているのね。 私はジュリアンナ。 ジュリアンナ・ラヴィーニよ」
そういうと彼女はほんの少しだけ微笑んだあと、自己紹介をしてくれる。
これは最悪の事態、入学初日から隣の席の女生徒から嫌がらせを受けるという可能性は無くなったとみて良いだろう。
「で、ですが私は男性に対しての価値観が変わったわけじゃないから。 自己紹介されたからって勘違いしないでほしいものね」
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