第12話 目がマジだった

 それでも今更逃げ出すわけにもいかず俺は覚悟を決めて自己紹介に入る。


「クロード・ペンド・クヴィストです。 これからこの魔術学園で皆様と一緒に学んでいく予定ですので、小等部から通っている皆様とは違って右も左もわからないのですけれども優しく教えて頂ければと思っております」


 そして俺は自己紹介を簡潔に述べると家でめちゃくちゃ練習してきたイケメンスマイルを全力で行使する。


「はうっ!?」

「あふんっ!!」

「あ……っ」

「イっちゃった……」

「天使様……」

「好き」


 その瞬間クラスメイト達からさまざまな声が聞こえてくるのだが、その中で変な言葉が聞こえて来たのだが気のせいだろうか? 気のせいだと思いたい。


「…………………………の、脳内に焼き付けておかなきゃっ!!」

「先生?」

「あ、いや、すまん。 何だ?」

「俺の席はどこですか?」

「あぁ、そうだな一番後ろ窓側の席なんだが、クロードさえよければ先生の隣でも私は一向に構わないぞ?」

「いえ、流石にそれはちょっと……。 それでは自己紹介も終わったので自分の席に着いても良いでしょうか?」

「あぁ。 構わないぞ。 あと、私の隣の席にしたい場合はいつでも言いに来てくれ」

「はははっ、それだと教師に隠れて居眠りなんてできないじゃなですか。 面白い冗談ですねっ!」

「むぅ、強情だな、クロードは。 ではクロードが席についたらこれからの事について軽く説明をして朝のホームルームは終了にしよう」


 最初は流石に『先生の隣の席』というのは冗談かと思ったのだが、カレンドール先生の目がマジだったので流石に二回目を振られた時は全力で冗談の程で躱して最初に言われた自分の席へと座る。


 ちなみにカレンドール先生が自分の隣へ進めた時は教室のあちこちから小声で『あの年増めっ、好き勝手しやがってっ』『これは職権濫用ではっ!?』『汚い大人やでっ!!』などという囁き声があちこちから聞こえてきた気がするのだが、カレンドール先生はその囁き声には無反応であり、聞こえていないようなのでやはり気のせいだろう。


 あんな優しそうな笑顔を俺に向けてくれる可憐な少女達が、こんな汚らしい言葉を使うわけがないではないか。


「良いこと? 男のくせに調子に乗らないことねっ。 所詮男性は女性に生かされている低俗な生き物だということを日々理解して、そして女性達に感謝しながら生きていけばいいわっ」


 そして俺は指定された席に座るのだが、隣の席のクラスメイトは金髪碧眼で胸は普通くらいのビックリするくらいの美人であった為俺は内心ガッツポーズした瞬間これである。

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