第11話 とんでもない場所に来てしまったのかも知れない
いかんいかん、担任である私がこんなんでどうなる。 その結果クロードきゅんに心配させてしまったではないか。
自信を持つのだ、私っ! そう、私がクロードきゅんと結婚をするんだとっ! 不安なままではそれがクロードきゅんに伝わってしまい…………おや? 私が不安になっている事がクロードきゅんに伝わっている? これは所謂以心伝心というヤツではなかろうか?
なるほど、全くクロードきゅんは既に私と以心伝心ができるくらい、そしてしちゃうくらいに私のことを想ってくれているし、私にメロメロだって事なのだろう。
今まで『異性となんかどうせ結婚なんかできないし、結婚と違って人数制限のない恋人ですらできないのが当たり前であるのにアンチエイジングや化粧に力入れても無駄な努力』だなんだと言われ続けてきたのだが続けてきて良かったと、今まで頑張ってきた過去の私を褒めてやりたい。
それと同時に今まで化粧もアンチエイジングも手を抜いてきた同僚達にはザマァと心の中で嘲笑う。
「それじゃぁ、まず私が先に教室に入るからクロードきゅん……んんっ、クロードは私が合図するまで廊下で待っててくれ」
「はい分かりました」
そして私は教室に入ってクラスの女生徒達にみっちりしっかり『お前らが一時の欲望に負けてクロードきゅんを襲ってしまった場合最悪クロードきゅんは国が管轄している保護施設の男子校へと転入の上に、高等部でも男性の入学が法律で禁止され、この奇跡のような環境はもう二度と見られなくなってしまう』という事を叩き込んだ上で、廊下で待っているクロードきゅんを呼ぶのであった。
◆
担任であるカレンドール先生がクラスに俺の事をまず初めに説明しに行って三十分ほど経ってからようやっと俺が教室の中へ入ってくるように呼ばれる。
そう、この扉の向こうへ一歩踏み出せば俺の夢であった花園が広がっているんだと思うと変に緊張してしまい足がなかなか動いてくれなずに扉の前で立ち止まってしまうのだ。
そして最初の印象というのはかなり重要であるためここで失敗するわけにはいかないというのも、さらに俺を緊張させてくる。
しかしながらここでいつまでも立ち止まっているわけにもいかないので俺は意を決して扉を開き教室の中へと入っていく。
すると、そこでは俺が思い描いていたような感じではなく、みんな落ち着いており、やけに静かであった。
俺の予想ではクラスメイト達の黄色い発狂が聞こえてくるものだとばかり思っていたので少し拍子抜けしてしまうのだが、しかしながら確かに黄色い声は聞こえて来ないのだが、彼女達の目は生肉を前にした猛獣のそれだというのが伝わってきくる。
俺は、とんでもない場所に来てしまったのかも知れない。
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